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2019.07.30

活用事例

[ロボットが活躍する現場vol.6]これぞ中小企業のロボットシステム! 協働ロボットとからくり装置でコストを抑制/ユタカ精工

産業用ロボットを導入した現場をリポートする連載「ロボットが活躍する現場」。今回は相模原市にあるユタカ精工(豊岡淳社長)を訪ねた。同社は2018年、協働ロボットの世界最大手、デンマーク・ユニバーサルロボットの「UR3」を導入し、金属加工機と組み合わせて使用する。産業用ロボットは量産加工の現場に向くと言われる。同社のように多品種少量生産を主体にする中小企業では、導入費用に効果が見合わないことも多く、ハードルが高い。しかし、同社は導入や運用のコストを抑制し、そのハードルを乗り越えた。そのカギは、知恵と工夫と仲間だった。

町工場に協働ロボットがある

相模原市にあるユタカ精工の外観

 ユタカ精工は今年、創業40周年を迎えた。同社は、工作機械を使った円筒型の金属部品の加工を得意とする。
 先代の父の頃は受注を一社に依存していたが、2代目の豊岡淳社長が就任すると取引企業を増やし、現在では100社を超えた。
 取引先の増加とともに、量産加工から多品種少量生産へと移行した。直径50~100mm程度の加工品を、1回あたり10~100個請け負う案件が最も多い。現在の従業員数は12人で、工場の外観や事業内容、企業の歴史などどこを見ても一般的な町工場。ただ異質なのは、そんな加工現場にロボットがあることだ。

過去には苦い経験も

過去の経験を話すユタカ精工の豊岡淳社長

 ユタカ精工がユニバーサルロボットの「UR3」を1台導入したのは2018年春。工作機械と組み合わせ、加工物の付け替え作業に使う。
 16年から導入を検討した。きっかけは、人手不足で加工の事前準備が工作機械の加工速度に追い付かず、機械が停止する時間が増えたこと。製造業の仲間に相談すると、ロボットの導入を勧められた。

 豊岡社長は「ロボットは量産加工に使うもの」と考えており、すでに量産品がなかったため前向きになれなかった。さらに苦い経験もあった。

 「量産品にも取り組んでいた10年ほど前までは、加工物の機械への着脱や搬送に、ローダーなど自動化機器を使っていた。しかし動作精度が低く加工物に傷が付く場合があり、自動化機器を使うことに品質管理面での不安があった」。その頃に量産から多品種少量加工へと転換。工場の移転もあり、使用をやめた経験があった。

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