目玉は自動化! 欧州の工作機械展で最新提案続々と/EMOハノーバー2023
ローカルSIerのシステムも
EMOは工作機械関連の展示会であるため、工作機械へのワーク着脱を自動化する「マシンテンディング」のアプリケーション(応用事例)が目立った。 大手工作機械メーカーのヤマザキマザック(愛知県大口町、山崎高嗣社長)は全体で19台の工作機械を展示し、そのうち11台には自動化システムを搭載した。山崎真嗣取締役営業本部長は「自動化システムの搭載比率は過去最高」と強調する。 注目を集めたのは、最大30kgまで対応可能なファナックのCRX-25iAを使ったパッケージ仕様の自動化システム「Ez LOADER(イージーローダー)30」だ。ブースでは、ワーク着脱からチャック(複数の爪でワークを固定する工作機械の補助器具)の爪交換までの一連の作業を自動化するデモを紹介。日本向けには、今年10月に名古屋市で開催される工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2023」で初披露するという。 この他、数多くの出展者がロボットやローダー、パレットチェンジャーなどの多種多様な自動化機器を活用したマシンテンディングの自動化提案に力を注いだ。 また、生産ラインを一括で請け負うラインビルダーや、エンジニアリング力が高いシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が多いのが欧州市場の大きな特徴だ。そのため、会場では出展者が独自開発したパッケージ仕様の自動化システムだけではなく、ローカルSIerが構築したマシンテンディング用の自動化システムを活用した事例も見られた。
今回展ではマシンテンディングに加え、切削工具管理を自動化するソリューションも脚光を浴びた。 ドイツの工具測定機メーカー、ツォラーはパッケージ仕様の工具管理システムを2種類出展した。工具を保持具に取り付ける作業から工具の長さや径を測定する作業までロボットで自動化した「roboBox(ロボボックス)」と、工具の測定作業だけをロボット化した簡易的な「coraMeasure(コラメジャー)」の2種類をそろえ、顧客の自動化ニーズにきめ細かく対応する構えだ。 日本法人(大阪府吹田市)の龍口一社長は「工作機械周りの自動化は進んでいるが、工具管理はまだまだ人手作業が主流。長時間の無人加工を実現するには、工具管理の自動化が重要なポイントになる」と語る。 また、工具保持具や工具測定機などを製造、販売するドイツのハイマーも、工具管理システムの新製品「HAIMER Automation Cube One(ハイマー・オートメーション・キューブ・ワン)」を披露した。ファナックのCRXシリーズと自社開発の直交ロボットを駆使し、使用済み工具の交換や工具の測定などを高効率に自動化する。「自社開発の直交ロボットには6つのハンドを搭載しており、3セット分の新旧の工具を一度に交換できる。そのため、従来製品よりも生産性が3倍に高まった」と日本法人(大阪市北区)の野坂耕一社長は述べる。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)
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