[ショールーム探訪vol.10]機械商社がここまでできるの!?/宮脇機械プラント「ロボットラボ&ショールーム」
狭い場所でもくねくねと
見ていると、狭いスペースの中で固定された棒をつかみ、アームをくねくねと折りたたんでいく。その動きに合わせて台座ごとロボット本体が引き寄せられる。最終的にはレール上のロック装置で位置決めをする。「いつも見るロボットとは動きが少し違うような……」と思っていると、実は関節が一つ多い7軸垂直多関節ロボットだった。自由度の高い7軸のロボットに加え台座を可動式にすることで、狭い場所でも一人二役、いや一台二役を担わせる工夫。「はは~ん」とうならされた。
SIerとしての認知度高める
宮脇機械プラントの本業は機械商社だ。他社との差別化や機械商社の殻を破るため、技術力の向上とPRに力を入れる。新規設備はもちろん、既存設備の自動化ニーズに応える案件も多い。同社の技術部隊は8人体制。ロボットを含む自動化設備の設計から、ロボットや機器のプログラミングまでこなす。「技術力に喜んでもらえることが増えた。本格的な自前の技術部隊を持つ機械商社は少ないのでは。もう少し増員しつつ、技術者一人一人の練度を高めたい」と語る。 「18年にショールームを開設してから多くの顧客に来場いただいたが、まだ機械商社とのイメージが強く、SIerとしての認知度が低い」と岡本社長。ショールーム開設こそ4年前だが、技術部の起こりは営業部技術係として立ち上げられた1988年までさかのぼる。システム技術部に昇格した96年以降は自動化の一環としてロボットを使うケースも増加。四半世紀以上にわたるSIerとしての実績がある。 「今、顧客の製造現場では5軸マシニングセンタや複合加工機など工作機械単体による工程集約が進んでいるが、やがては工程の異なる設備同士をつなぐなど自動化のニーズが高くなる」と力を込める。ロボットを含む自動化の需要が本格化する時に備えて、リニューアルしたロボットラボ&ショールームを積極的に活用し、機械商社でありSIerでもあるとの認知度を高める考えだ。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)
[取材記者から] 「機械商社がここまでできるの!?」との見出しは、記者の率直な感想だ。数千億円を売り上げる大手企業ならSIerをグループ化するなど方法はあるが、中堅・中小企業が完全に自前で技術者を確保し、ノウハウを蓄積し、売り上げを生むには、長期にわたり我慢強く取り組む必要があるだろう。メーカーや商社、SIerなどの枠組みを超えようとする同社を応援したくなった。 施設概要 名称:ロボットラボ&ショールーム 所在地:兵庫県明石市北王子町2-26 予約連絡先:078-927-1181 関連記事:機械商社が「7軸ロボットの活用」を説く理由/宮脇機械プラント 関連記事:[ショールーム探訪vol.9]ロボット事業とコネクタ事業のコラボレーション/ストーブリ「東梅田ショールーム」 関連記事:[ショールーム探訪vol.8] 学びに最適。深掘りできる/三菱電機「東日本FAソリューションセンター」 関連記事:[ショールーム探訪vol.7]古い倉庫とハイテクに「ギャップ萌え」/HAI ROBOTICS JAPAN「HRJテクニカル・センター」