[注目製品PickUp!vol. 26]作業用手袋メーカーが生んだロボ用手袋【後編】/東和コーポレーション「ロボグローブ」
従来と真逆のビジネスモデル
ロボ用手袋の事業化を進めるロボグローブ推進室は2018年秋、展示会への初出展を機に立ち上がった。担当者は兼務がほとんどで、十数人規模。今後は事業部へ格上げし、推進力を高めたいという。 問題は、これまでとは真逆のビジネスモデルを構築しなければならないことだ。ロボ用手袋はオーダーメードが多い。カタログ品であっても、多種多様な仕様がある。一品対応に近い多品種少量生産で、生産ロット数も小さく、現状では生産ラインの確保さえ簡単ではない。生産面での対応は、中長期的な課題だ。
シートタイプを入り口にオーダーメードへ
現在、ロボ用手袋の受注はオーダーメードとカタログ品の比率がおよそ8対2。 オーダーメードでは、各社が独自に設計したロボットハンドであっても、その設計データに基づき最適なハンドを製作できる。小ロットの注文にも対応する。 カタログ品の中で一番試しやすいのは「シートタイプ」だ。ロボ用手袋に使う素材を、ロボットハンドの爪先、指先だけに貼って使う。まずシートを入り口に、滑りにくく、しっかりつかめる特徴を感じてもらう。シートにより「ロボグローブは使える」と評価され、指全体やハンド全体を覆う製品の採用へとつながるケースが多いという。 また、カタログ品のラインアップ拡充も図る。直近では、カナダのロボットハンドメーカーROBOTIQ(ロボティック)製ハンドに対応する「ROBOTIQ用手袋タイプ」の発売を予定する。 田辺主任は、今後のロボ用手袋事業について「新型コロナウイルス禍をチャンスに変えていければ」と力を込める。人をこれまでのように配置できない工場では自動化のニーズが高まり、いよいよロボット導入が本格化すると見る。こうした需要を取り込むため、カタログ品のラインアップを増やしながら、ロボグローブの認知度向上を図る。
――終わり (ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)