革新的なロボット技術に脚光/ネクスト・イノベーション・テクノロジーフェア2019
お茶たてデモで技術力をアピール
地元愛知県に本社を置くデンソーウェーブ(阿久比町、中川弘靖社長)は、協働ロボット「COBOTTA(コボッタ)」3台と自社の垂直多関節ロボット2台を使い、お茶たての自動化デモを披露した。ロボットがたてたお茶は実際に振る舞われ、大勢の来場者の関心を集めた。 このデモは単なる話題作りのための展示ではない。同社はデモを通じ、自社の技術力の高さも併せて発信した。 注目ポイントは、2台のコボッタと2台の垂直多関節ロボット。左下の写真を見ると、垂直多関節ロボットがコボッタを持ち運んでいるのが分かる。コボッタの本体質量は約4kg。軽量で持ち運びがしやすいので、あえて垂直多関節ロボットの先端に取り付けた。 もう一つ注目したいのが制御技術だ。デモでは、2台の垂直多関節ロボットの協調動作を披露。また、垂直多関節ロボットに搭載された2台のコボッタが湯飲みと茶筅(せん)をそれぞれ動かしてお茶をたてる。複雑な協調動作など、デモで使われる全てのプログラムはたった1台のコントローラーに全て組み込まれているという。
MR技術で据え付けサポート
自動車部品の製造やロボットシステムの開発を手掛けるアスカ(愛知県刈谷市、片山義規社長)の子会社、MIRAI-LAB(ミライラボ、名古屋市中村区、日比野学社長)はMR技術を生かしてロボットシステムの据え付けをサポートするシステムを出展した。 右上の写真では、川崎重工業の双腕型協働ロボット「duAro(デュアロ)」が1台、ぽつんと設置されている。だが、専用のヘッドマウントディスプレーを装着すると、写真左側のモニターのように、デュアロを中心とするロボットシステムの3次元(D)データが映し出される。ロボットシステムの幅や高さに加え、ロボットの動作なども感覚的に把握できるのが特徴だ。 ロボットシステムを現場に据え付ける前に、事前に3Dデータでその寸法や動きを確認しておけば、現場での急な設計変更などの手間を極小化できる。
イノベーション=新結合
本展示会の名称にも使われているイノベーションとの言葉は「技術革新」の他、「新結合」とも訳される。新結合は「既存のもの同士をこれまでとは違う組み合わせで結び付け、今までにない価値を生み出すこと」と言えばイメージしやすいだろう。 今回のNITF2019では、「垂直多関節ロボットと軽量の協働ロボット」「産業用ロボットと複合現実(MR)」など、まさに新結合と言える提案が各所で見られた。 産業用ロボットがこれから先、他のさまざまな技術とどのように結び付き、どのようなイノベーションを生み出すのか。NITF2019はこうした未来への想像力をかき立てられるような展示会だった。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)