• インタビュー
2019.02.27
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先の見えない時代の投資とは?日本市場開拓に本腰【後編】/ユルゲン・フォン・ホーレン ユニバーサルロボット社長

協働ロボットは企業の柔軟性を高める

「中小企業にも導入してほしい」とフォン・ホーレン社長

――協働ロボットはどういったユーザーに最適な設備でしょうか。  「ロボットをあらゆる企業に」、これが当社のビジョンです。企業規模がどれほど大きくても、またどれほど小さくても協働ロボットは有効です。大企業でも中小企業でも使えます。強いて言えば、小回りが利くことが強みの中小企業にこそ導入してほしい設備です。まずは1台導入し、使いこなせたら徐々に台数を増やして自動化を段階的に進めることも可能です。しかし現状では自動車関係などの大企業で採用されることが多く、小さな企業まではまだまだ協働ロボットの情報が行き届いていません。中小企業に対する認知度向上はこれからの課題です。

―米中貿易摩擦の影響などもあり、設備投資の減速も懸念されます。  米中の貿易摩擦やブレグジット(英国の欧州連合離脱問題)、原油価格の乱高下など、政治でも経済でもあらゆるところにリスクがあります。自動車業界ではフル・モデル・チェンジの周期を考慮して6~7年先を見越して設備投資するなどと言われていましたが、今は3年先のことさえ誰にも分かりません。先が見通せないのに設備投資をするのは大きなリスクを伴います。しかし、競争力を維持するために何らかの設備投資は必要です。それならば、“柔軟性への投資”をすべきではないでしょうか。

「柔軟性を高めるための投資すべき」とフォン・ホーレン社長

――“柔軟性への投資”とは?  市場環境や生産する製品の変化に柔軟に対応できる体制を整えるための設備投資です。協働ロボットはまさにこれに当てはまります。扱う製品がどのように変わろうとも随時再プログラムして柔軟に配置を変えられ、あらゆる工程で使えます。設備投資がリスクではなくなるのです。一般的な産業用ロボットよりも早く自動化システムを立ち上げられ、投資額を回収するまでの期間が短いため、投資リスクはさらに低くなります。当社の昨年の売上高は前年比で38%伸びました。これは、売上高を毎年60~70%伸ばしてきた当社にとっては喜ばしくない伸び率で、設備投資に二の足を踏むような社会情勢が影響しています。しかし、こうした時代だからこそ当社の協働ロボットがお役に立てると信じています。当社では今年を、業績を一つ上のレベルに引き上げる年と位置付けました。日本の皆さまも当社の今後の取り組みにご期待いただければと思います。

――終わり (聞き手・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

ユルゲン・フォン・ホーレン ダイムラー・クライスラー・サービス、ドイツテレコム、ペンテアなどの国際企業で上級管理職を経験。国際的なエンジニアリングサービス会社のビルフィンガーSEではエンジニアリングソリューション部門のエグゼクティブプレジデントを務めた。2016年ユニバーサルロボット入社。英国ヘンリー・マネジメント・カレッジで経営学修士号(MBA)取得。 関連記事:先の見えない時代の投資とは?日本市場開拓に本腰【前編】/ユルゲン・フォン・ホーレン ユニバーサルロボット社長

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