[SIerを訪ねてvol.3]生産ライン全体まで踏み込んだ構築を【前編】/豊電子工業
工法から一緒になって開発
SIerの仕事と言えば、作業に合わせたハンドを開発し、決められた工程にロボットを配置。その後、動作をプログラムして、安全柵などの安全装置を設置するといった流れが一般的だ。 同社でもそうした仕事はあるが、加工法の開発から依頼されるケースも多いという。 開発事例の一つが、ロボットによるレーザー焼き入れシステムだ。材料の搬入から焼き入れ、搬出までの自動化を提案する。 ロボットと2軸のポジショナー(加工しやすいように対象物の位置や姿勢を調整する機器)で構成。ロボットにレーザーユニットを取り付けた汎用型と、ロボットがワークをつかんでレーザーヘッドにかざす量産型の2種類をラインアップする。 汎用型はさまざまな対象物を焼き入れするシステムに適しており、量産型は同一の対象物を連続で量産するシステムに適している。 レーザーユニットの近くには、非接触で温度を測れる放射温度計を装着。リアルタイムに焼き入れ温度を監視し、一定に制御する「温度フィードバック制御」ができる。 また、レーザー出力の波形から、焼き入れ不良を発見できる機能も搭載する。
ラボを開設し、加工品質を確保
ラボで顧客の部品に適した焼き入れ条件を導き出せてはじめて、それを組み込んだ自動化システムを提案。顧客へシステムを納入する。 「SIerで測定まで自社でできるところはない」とラボを担当する技術開発部の小正大樹さんは話す。顧客からは「ここまでやっているのか」と驚かれることもあるという。 同社では今後も、顧客の加工工程にまで1歩も2歩も踏み込んだ自動化システムの構築に挑戦する考えだ。