[注目製品PickUp! vol.38]システム立ち上げから稼働までをシンプルに【後編】/伊東電機「id-PAC」
「3日間で稼働してほしい」
納入先はネット通販の倉庫にとどまらず、出版社の仕分け倉庫に導入した時は、「繁忙期に間に合わせるため、3日間で既存設備の撤去からid-パックの設置、稼働までしてほしい」との要望があった。従来のコンベヤーでは、設置してから技術者による細かな調整を必要とするため、3日間で完結することは厳しい。しかし、id-パックは制御プログラムが標準化されており、設置後の現場での細かな動作の調整も不要。id-パックの特性を生かして、顧客の要望通り3日で既存設備の撤去からid-パックの稼働までを実現した。 広報担当者は「展示会にid-パックを出展する時は、営業社員だけで設置から撤去までこなせる」と明かす。
実機の展示で顧客にアピール
2020年に開設したイノベーションセンター内のショールームで、id-パックなどパワーモーラを核としたマテハン機器の実機を展示する。搬送テストや検証、勉強会を通じて、自動化設備の導入を検討する顧客に向けて自社製品をPRする。 動画では、奇数の番号が書かれた箱だけを動かして、数字の順番通りに並べ直しながら整列させるというデモンストレーションを披露している。 この時にオペレーターはそれぞれの箱の動き方は指示せず、奇数の箱が数字の順番通りに並ぶように指示しただけだ。具体的な経路は自律分散制御技術によって、モジュール同士が通信して決める。
コロナ禍で高まる需要
id-パックを構成するパワーモーラの売上比率は海外が6割で日本が4割と、海外の方が高い。大規模な物流を扱う米国郵便公社にパワーモーラが採用されたことで、海外に向けて性能をアピールできたことが大きな要因だ。 コロナ禍での巣ごもり需要で、ネット通販の利用が世界規模で増えた。作業者の密を避けるニーズの高まりや、短期間で設備を導入できる点も後押しとなり、物流拠点でのパワーモーラやid-パックの引き合いが増えている。「パワーモーラやid-パックなどのマテハンシステムの提供者として、地域社会、産業界、さらには国際社会の発展に貢献し続けたい」との伊東徹弥社長の考えの下、同社は世界中の顧客に最適なソリューションを提案する。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)