[特集 物流機器は新世代へvol.4]群雄割拠のAGV・搬送ロボット【後編】
レンタルやサブスクに親和性
AGVは台数の増減で搬送能力の調整が可能だが、購入した場合買い増しはできても、台数を減らすことはしにくい。また、新製品が次々に登場する分野だけに、使っているうちに陳腐化する懸念もある。 そのため、レンタルサービスや月額制のサブスクリプションサービスとして提供する企業も多い。
ロボットのレンタルサービス「RoboRen(ロボレン)」を手掛けるオリックス・レンテック(東京都品川区、細川展久社長)は、AGVのレンタルサービスも提供する。 オムロンやシャープ、日本電産シンポ(京都府長岡京市、西本達也社長)など国内の5メーカーに加え、20年2月から中国HIKROBOT(ハイクロボット)製の自動搬送ロボット「Latent Mobile Robot(レイテント・モバイル・ロボット)」の取り扱いを開始した。 最大可搬質量は600kgと1000kg。陳列棚の下に潜り込み、棚ごと持ち上げて搬送できる。価格は「6カ月お試しレンタルパック」で月額32万8000円(税別)から。
三井物産や物流施設開発企業が出資し、サブスク専門会社も
プラスオートメーション(東京都港区、飯間卓社長)は、「ロボット・アズ・ア・サービス(RaaS、サービスとしてのロボット)」を掲げ、AGVで構築した物流システムを月額サービスとして提供する。 中国のベンチャー企業の浙江立鏢機器人や、Rapyuta Robotics(ラピュタロボティクス、東京都中央区、ガジャン・モーハナラージャ最高経営責任者)などさまざまなメーカーのAGVを使い、システムを構築する。特に人手が掛かる、棚から物を集めるピッキングと、仕分け工程を自動化する。 同社は三井物産や多数の物流施設を開発、運営する日本GLP(東京都港区、帖佐義之社長)、豊田自動織機が出資する企業で、19年に設立。直近では東京都品川区にソリューション開発とデモのための施設「R&D/デモスペースcube(キューブ)」を開設した。
また、中国に本社を置くシリウスロボティクスも、日本法人とは別に月額サービスとして同社のピッキング補助ロボットを提供するための子会社を日本に設立。1台当たり月額8~10万円程度で提供する。 制御システムや車両を外販する企業が増え、AGVを開発しやすい環境が整った。 また月額サービスとして初期費用なしで使えるなど、ユーザー企業がAGVを導入しやすい仕組みも普及してきた。 供給側、導入側双方の環境が整ってきたことで、今後AGVの普及拡大に一層の拍車がかかりそうだ。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
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