[ショールーム探訪vol.41]パラレルリンクロボットを見て、触れて、知る/インテグリアル「大阪ロボットセンター」
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のインテグリアル(相模原市緑区、永田記章社長)は、大阪支店内に同社唯一のショールームとして「大阪ロボットセンター」を構える。展示するロボットは全てオランダに本社を構えるロボットメーカーCodian Robotics(コディアンロボティクス)のパラレルリンクロボットだ。自らを「パラレルリンクロボット業界マニア」と称する永田社長によるパラレルリンクロボットの解説や扱い方の講習を通じて、パラレルリンクロボットについての理解を深められる。
まずはパラレルリンクロボの歴史から
大阪府東大阪市は町工場が数多く集積する「ものづくりの町」として全国的に知られており、市内には製造業の支援施設が複数存在する。大阪府と大阪産業局は「ものづくりビジネスセンター大阪(MOBIO、モビオ)」を、中小企業基盤整備機構(中小機構)は「クリエイション・コア東大阪」を東大阪市役所のすぐそばに構える。
インテグリアルはクリエイション・コア東大阪の一室に、大阪支店と大阪ロボットセンターを設ける。関西の顧客からの引き合いが多いこともあり、本社でなく2023年に開設した大阪支店にショールーム機能を持たせた。クリエイション・コア東大阪は、大阪府と奈良県を結ぶ近鉄けいはんな線の荒本駅が最寄り駅で、駅から6分ほどの距離にある。
同センターの中に入ると真っ先に目に入ったのがコディアンロボティクスのパラレルリンクロボットだ。コディアンロボティクスはオランダに本社を置くパラレルリンクロボットに特化したロボットメーカーだ。同社製品を日本で唯一、常設展示しており、展示する4台のロボットはいずれもパラレルリンクロボットだ。
パラレルリンクロボットしか展示していないショールームは珍しく、まして海外メーカー製品のみとなればなおさらだ。
記者の訪問時は、ショールームを見学する前にまず永田社長による会社概要の説明から始まり、続けてパラレルリンクロボットそのものについての解説もしていただいた。今回の取材に限らず、ショールームの見学者には永田社長が対応しているという。永田社長はパラレルリンクロボット業界マニアを自称しており「マニアックな話ですが」と話を切り出し、パラレルリンクロボットの起源やメーカーの変遷などについて話す姿が印象に残った。
想定外の反響
実は、コディアンロボティクスのパラレルリンクロボットに専用のロボットコントローラーはない。市販のプログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)で制御できる他、市販のサーボモーターを組み込めるため、それらの組み合わせ次第で多くのバリエーションを開発できるのが強みとなる。その特性を生かし、可搬質量や軸数などの異なる約100種類までラインアップを拡充してきた。
展示品の中で今引き合いが一番多いのが、アーム長500mmとコディアンロボティクスの製品群で最小のパラレルリンクロボットを使った食品向けの自動搬送システムだ。コンベヤーで流れてくる複数の対象物(ワーク)を一度にピッキングし、高速で別の場所に移す仕組みとなっている。
このシステムを展示会に出展した際に、来場者からロボットだけでなく自動搬送システムごと欲しいとの声があり、想定外の反響を得たという。
食品向けの小型自動搬送システムが好評だった理由として「現在のパラレルリンクロボットメーカーは中型~大型のロボットを中心にラインアップしているのが背景にある」と永田社長。「コディアンロボティクスの小型ロボットなら、既に小型のパラレルリンクロボットを使っている顧客層に買い替え需要を喚起できるのではないかと考えた」と語る。

