生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.04.05

惣菜製造に一石投じる! 唐揚げやポテサラ用ロボ本格導入へ/日本惣菜協会ほか

日本惣菜協会(会長・平井浩一郎ヒライ社長)を中心に開発を進めていた複数の惣菜業界向けロボットシステムが3月末に、相次いで本格的に生産現場に導入された。同協会などは3月29日に記者会見を開き、唐揚げを弁当詰めするロボットやポテトサラダを容器に盛り付けるロボットを実演。平井会長は「会員各社は人手不足に困窮し、わらにもすがる思いでロボットを使った自動化に期待している。惣菜業界が変わる」と期待を示した。

今年度は2つのシステムを

日本惣菜協会の平井浩一郎会長

 日本惣菜協会は昨年9月、経済産業省(経産省)の「令和3年度革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」の補助対象事業者に採択された。
 それを機に同協会が中心となり、ロボットメーカーやロボットシステムを構築するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)、ソフトウエアメーカーなどと協力して事業を始めた。

日本惣菜協会が率いた「ロボフレ」事業の関係者

 平井会長は「会員各社は人手不足に困窮する。わらにもすがる思いでロボットを使った自動化に期待している。そのために解決すべき課題も多く、各所の力が必要だった」と話す。

 食品の盛り付けなどの分野でロボットを活用しやすい「ロボットフレンドリー(=ロボフレ)」な環境構築の提案や、具体的なシステム開発に取り組んだ。その成果として、3月29日に開いた会見の会場では2つのロボットシステムを披露した。

1時間に250個

ポテトサラダを容器に盛り付けるロボットシステム

 1つはポテトサラダを容器に盛り付けるロボットシステムだ。水平多関節ロボットを中心に、盛り付ける容器の給排装置や専用のロボットハンド、ポテトサラダを供給する専用の番重(食品用のコンテナ)などを開発した。

 開発を主に担当したのは、いずれもSIer事業などを手掛けるFAプロダクツ(東京都港区、貴田義和社長)、オフィスエフエイ・コム(栃木県小山市、飯野英城社長)、日本サポートシステム(茨城県土浦市、天野真也社長)、コネクテッドロボティクス(東京都小平市、沢登哲也社長)の4社。

ロボットが盛り付けたポテトサラダ。見た目の違和感はない

 実際に小売業や惣菜の製造販売も手掛けるマックスバリュ東海が同社の長泉工場(静岡県長泉町)に導入。3月25日に稼働を始めた。1システムで1時間あたり250個の処理能力を持つ。これを4台並べて1000個を製造する。
 ロボットシステムが担当するのは盛り付け作業のみで、容器のふた閉めや検品などは人が実施する。従来は7人で担当した生産ラインを3人に減らせる。

TOP