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2022.02.18

[特集 国際ロボット展vol.1]得手に帆を揚げよ

ロボットなど自動化関連の産業に追い風が吹いている。かねてからの人手不足で「自動化できる作業は自動化すべき」との認識が広がりつつある。人工知能(AI)などの技術の進化も、自動化機器の普及を後押しする。このタイミングで、3月9日からは世界最大級のロボット展示会「2022国際ロボット展(iREX2022)」が開かれる。顧客の需要やニーズと、それに応える技術、その二つをマッチングする場。国内産業の自動化レベルの飛躍的な向上に向け、必要な全ての要素がいまそろった。

過去最高のロボット需要

 産業用ロボット市場は過去最高の水準だ。日本ロボット工業会が発表する統計(会員ベース)では、2021年10月~12月期の産業用ロボットの受注金額は前年同期比3.9%増の2310億円、生産額は同21.5%増の2110億円となった。受注額は6四半期連続の増加、生産額は5四半期連続の増加を記録した。

コロナ禍でも好調なロボット産業

 21年の通期で見ても、受注額は同29.6%の9405億円、生産額は同26.4%増の8326億円と、いずれも過去最高を更新した。非会員も合わせたデータは5月に公表予定だが、受注額は初めて1兆円を超え、約1兆970億円と見込まれる。
 国内出荷額も会員ベースで同10.4%増の1856億円と、国内の自動化投資も間違いなく盛り上がっている。

 他の産業と同様に、半導体や電子部品の不足などの懸念はあるものの、まだまだしばらくは絶好調が続く見通しだ。国際ロボット連盟も昨年10月、21年から24年までは、世界のロボットの新規設置台数は毎年過去最高を更新するとの予測を発表した。

目的が変わった

 かねてからの人手不足に加え、感染症対策として現場での人の密度を減らす動きがあり、自動化需要の一層の高まりにつながっている。また、急きょ欠員が出ても現場を回せるようにするための「BCP(事業継続計画)」としてのニーズもある。
 自動化を検討する際、以前は生産性や費用対効果が最も重視された。簡単に言えば「人をロボットに置き換えた場合、どれだけもうかるか」だ。しかし今は、「人手不足の中でも工場での生産などを維持するため、自動化できる作業は自動化を検討する」との考え方が増えているという。ロボットなどの自動化機器は「持続可能な経済活動に不可欠な存在」というわけだ。

持続的な経済成長やディーセント・ワークの推進もSDGsに含まれる

 近年、産業界でも「SDGs(持続可能な開発目標)」が大きな話題になっている。環境負荷の低減や男女平等が注目されがちだが、全部で17個ある目標の8番目には「働きがいも経済成長も」との項目がある。そこで掲げられるのは、持続可能な経済成長や、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の推進だ。経済成長を阻害する人手不足を解消し、単調な反復作業や体への負荷が大きい作業から人間を解放する。まさに、自動化機器が解決すべき課題だ。
 「ロボットなどの自動化機器は、社会の救世主だ」というと少々表現がオーバーだが、決して間違いではない。

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