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2021.02.04

調理ロボ市場の開拓に向け、「今年が勝負の時」/コネクテッドロボティクス 沢登哲也CEO

コネクテッドロボティクス(東京都小金井市、沢登哲也最高経営責任者<CEO>)は、協働ロボットを使った自動調理システムを開発するベンチャー企業だ。「梱包や包装されていない食品を扱うロボットシステムは珍しく、さらに調理用システムとなると競合がほとんどいない。まさにブルーオーシャン市場」と創業者の沢登CEOは言う。沢登CEOに、調理ロボット事業に乗り出した背景や、今後の展望を聞いた。

たこ焼き、そばゆでロボットなど開発

たこ焼きを作るロボット「オクトシェフ」

 産業用ロボットは工場などで使われることが一般的だが、コネクテッドロボティクスはロボットで自動調理システムを構築し、飲食店などに提案する。
 安全柵なしで稼動させられる協働ロボットを使い、たこ焼きロボット「オクトシェフ」、コンビニのレジ横にある唐揚げなどを調理する「ホットスナックロボット」、立ち食いそば店でそばをゆでる「そばロボット」などを開発してきた。

 また、調理の他にも、ソフトクリームを自動で巻く「レイタくん」や、食器洗浄システムなど、飲食関連のロボットシステムを専門に手掛ける。

  • ソフトクリームを自動で巻く

  • 調理だけでなく食器洗浄のシステムも

飲食経験とロボット技術を掛け合わせる

「飲食業界には技術革新が必要」と話す沢登哲也CEO

 同社が調理ロボット事業に取り組み始めたのは2017年。この年の4月に、たこ焼きロボットのプロトタイプで事業アイデアコンテスト「スタートアップ・ウィークエンド・ロボティクス」のグランプリを受賞した。

 沢登CEOは、東京大学や京都大学大学院で情報処理を学び、創業前は制御機器メーカーでロボットコントローラーや人工知能を使ったソフトウエアの開発を経験。14年にコネクテッドロボティクスを創業した後もしばらくは、調理とは無関係の制御ソフトの開発などをしていた。

 祖父母が飲食店を経営していたこともあり、昔から飲食業界への関心は高かった。制御機器メーカーに入社する前は、飲食店をチェーン展開する企業で働いたこともある。
 「飲食業界はアルバイトが抜けた穴を正社員が埋めるなど、働く人への負担が大きい。技術革新を起こして根本から変えないと、今後立ち行かなくなるのではと感じた」と沢登CEOは言う。
 コンテストでアイデアは評価され、飲食企業にヒアリングしても好感触だったが、調理ロボット市場が今後どれだけの規模に成長するかなどは、全く見通しが立たなかったという。沢登社長は「データとして市場の見通しが出せる分野には大企業が参入してくるため、中小やベンチャー企業の新規事業には向かない。市場が見通せない分野に、覚悟を決めて取り組むしかない」と話す。

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