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2020.12.08

イベント

ロボットピッキングをより手軽に/国際画像機器展

12月2日~4日の3日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で「国際画像機器展2020」が開かれた。工業用カメラや関連製品などの展示会で、104社が出展し、5000人超が来場した。ロボットの専門展ではないため、ロボットシステムでの使用に焦点を絞った提案は多くなかったが、ロボット向けのピッキングシステムやビジョンセンサーを提案する企業もあった。

必要な要素をパッケージ化

リンクスが提案したビン・ピッキング・スタジオ

 同展で最大規模のブースを構えたのは、海外メーカーの画像処理システムや産業用カメラなどを総代理店として輸入販売するリンクス(東京都品川区、村上慶社長)。
 ロボット関連の製品もいくつか出展し、中でもスロバキアのPhotoneo(フォトネオ)の3次元(D)ロボットピッキングシステム「Bin Picking Studio(ビン・ピッキング・スタジオ)」が注目を集めた。

 これは3Dスキャナーとコントローラー、設定・表示用のソフトウエアを組み合わせたもの。コンテナ内に乱雑に積まれた部品を自動で認識してつかみ上げる「ばら積みピッキング」用の製品だ。
 つかみたい部品や周辺設備などの設計データを入れて、部品のどの部位をどのようにつかむかを設定すれば、ピッキングができる。ロボットに動作を覚えさせるティーチング(教示)作業が不要で、部品の位置や角度、コンテナ壁面の位置などを考慮したロボットの動作経路が自動で生成される。

 「ロボット本体以外の必要な要素をパッケージ化してあるため、立ち上げの手間を大幅に軽減できる」と製品担当者は話す。さまざまなメーカーのロボットに対応可能。去年の1月から国内で本格的に提案しはじめた製品で、すでに大手自動車メーカーにも導入実績があるという。

3Dのロボットピッキングを安価に

手軽に導入できるジックのPLP1000

 ドイツの光学センサーメーカーSICK(ジック)の日本法人、ジック(東京都中野区、松下実社長)は、ブース内に複数のロボットを設置し、ロボット用のビジョンセンサーを展示した。
 
 目玉は、3Dビジョンセンサーの新製品「PLP1000」。価格の安さと、設定の簡単さが特徴の製品だ。
 PLP1000では、登録した3D設計データと部品全体の形状を比較するのではなく、部品の一部の特徴的な形状のみを認識する。右写真の部品では、円筒の端面を認識させている。そのため、端面が横や下を向いている場合は認識できないが、機能を絞った分安価で提供できる。また設定の手間も少なく、運用までの期間を短縮できる。

 「20度までなら傾けても認識できる。部品の向きが完全にばらばらなばら積みピッキングならば高価なビジョンセンサーを使えばいいが、そうでなければこの方式で対応できるケースは多い」と担当者は語る。

 来年の「国際画像機器展2021」は、2021年12月1日~3日に開催予定。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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