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2020.07.07

【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.5]ハンドメーカーは新機能の「一手」続々と

産業用ロボットに具体的な機能を与えるのが、ロボットアームの先端に付くエンドエフェクターだ。今回は、ロボットを搬送用途に使う場合の「ロボットの手」、ロボットハンド(グリッパー)の最新提案を追った。協働ロボットへの対応や、カスタマイズのしやすさなどがトレンドだが、中には「ヤモリの手」を模したタイプや、ロボットではなく、工作機械の主軸頭に付けるハンドも登場した。

「ヤモリの手」を再現 /シュンク・ジャパン

小さな吸盤が無数にあるような構造のプレスグリップ

 ドイツに本社のあるロボットの周辺機器メーカーの日本法人、シュンク・ジャパン(東京都品川区、谷本昌信社長)は、ヤモリの手を模したグリッパー「PressGrip(プレスグリップ)」を年内に発売する。垂直な壁も登れるヤモリの手は、分子と分子の間に働く「分子間力」で物に張り付く。ヤモリの手足表面の微細な構造を再現。国内では2月の展示会で初披露した。
 電気やエアを使用せず、対象物に押し当てるだけで把持できる。従来の真空吸着ハンドでは把持しにくかった、薄膜のフィルムや微小な電子部品を扱える。また、食品の梱包資材やガラスなど、滑りやすい物にも対応。電力を消費せず、省エネにもつながる。

工作機械の主軸頭にグリッパーを直接付ける接続部品「GSW-B」

 金属加工向けには、ロボットアームの先端ではなく、工作機械の主軸頭にグリッパーを直接付けるための接続部品「GSW-B」を提案する。金属を切削加工する工作機械に、加工前後の対象物の搬送機能を付与できる。
 GSW-Bには、同社の主力のグリッパー3種類を接続でき、さまざまな形状の対象物に対応する。工作機械の扱いに慣れた作業員ならばシステム構築が簡単。ロボットが不要で、導入コストも安く済む。

協働向けやマルチなハンドを発売/鍋屋バイテック

協働ロボット向けの「電動2爪平行グリッパHRC-03」

 鍋屋バイテック(岐阜県関市、岡本友二郎社長)は、ドイツの機械部品メーカー、ツィマーグループの総代理店で、グリッパーも扱う。鍋屋バイテックは、導入のハードルの低さから協働ロボットの需要が拡大するとみており、国内向けラインアップを強化する。

 昨年「電動2爪平行グリッパHRC-03」を発売。主要メーカー8社の協働ロボットに合わせて、それぞれ仕様を変えて型番を用意する。そのため、初心者も簡単に扱える。
 ロボットからグリッパーへの電源供給が停止しても、機械式のロックにより把持物が落下しない。把持力は最大190Nで、4段階に設定できる。人の近くでも使う協働ロボットのグリッパーなので、安全に配慮して丸みを帯びたデザインにした。

「GED6000ILシリーズ」はロングストロークと高把持力を両立

 協働型ではない一般的な産業用ロボット向けでは「電動3爪グリッパ ロングストロークタイプGED6000ILシリーズ」を発売。3点で支持する3爪の電動タイプでは世界で初めて、40mmのロングストロークと最大1700Nの高把持力を両立したという。
 直径の異なる丸い物を単一の電動グリッパーで把持したいという顧客の要望に応えた。爪はサーボモーターで駆動しており、稼働位置や把持力を設定でき、複数種の把持物に対応する。

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