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2020.01.06

イベント

[特集 国際ロボット展vol.13]海外メーカーやヒト型の展示も

ロボット業界最大の展示会「2019国際ロボット展(iREX2019)」が2019年12月18日~21日の4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。会場には海外メーカー製の産業ロボットも多く、一般的なアーム型だけでなく双腕型のヒト型ロボットの展示も目立った。

移動式協働ロボの連携とロボット切削を披露

 国際ロボット展には国内メーカーだけでなく、海外メーカーの出展も多い。

 ロボットメーカーの「世界4強」の一角であるドイツKUKA(クカ)の日本法人、KUKAジャパン(横浜市保土ヶ谷区、アラン・ファム社長)も出展。協働ロボット「LBR iiwa(イーバ)」と、それを無人搬送車(AGV)に搭載した「KMRイーバ」による連携作業を展示した。KMRイーバが歯車を載せたケースを運び、LBRイーバが、それをはめ合わせた。
 歯車をはめ合わせるには、力加減を調整しながら歯のかみ合う部分を探る必要がある。LBRイーバは7軸全てにトルクセンサーを内蔵しているため、今回の展示のような繊細な力加減の要る複雑な作業をこなせる。

 また、同社の中・大型ロボットを使った切削加工システムも展示し、デモ加工を披露した。システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のアットロボティクス(東京都世田谷区、竹中司社長)がこのシステムを構築した。
 2020年1月からKUKAジャパンの社長を兼任する、アラン・ファムアジア地域統括最高経営責任者(CEO)は「今後も世界の先端事例を日本の顧客に披露し続けたい」と意気込む。

海外製協働ロボットを積極的にアピール

 大手総合商社の住友商事グループ傘下の住友商事マシネックス(東京都千代田区、佐橋明三社長)は、このほど総代理店契約を締結した韓国の斗山(ドゥーサン)ロボティクス製の協働ロボットを出展した。
 同社は2019年11月に斗山ロボティクスの協働ロボットを日本市場で発売したばかり。社内に専門のプロジェクトチーム「Cobot(コボット)プロジェクト」を立ち上げ、拡販に努める。Cobotプロジェクト責任者の高木正義産機システム本部長補佐は、今回展を「斗山ロボティクス製協働ロボットのお披露目の場」と位置付け、大々的にアピールした。
 斗山ロボティクスの協働ロボットは6軸で、最大可搬質量と最大リーチ長の異なる4タイプを用意する。最大の特徴は6軸全てにトルクセンサーを搭載すること。
 「歯車のはめ合いやねじ締め、ポリッシングなど繊細さが求められるアプリケーション(ロボットの応用的な使い方)に向く」と高木氏は話す。小間でも多彩な使い方を展示し、来場者の関心を集めた。

 住友重機械工業は、ドイツのハングループの協働ロボット「sawyer(ソーヤー)」を展示した。ソーヤーは7軸で可搬質量4kgの単腕型協働ロボット。米国Rethink Robotics(リシンクロボティクス)が開発した製品で、2018年に廃業したリシンクロボティクスの事業をハングループが引き継いだ
 ソーヤーは人との接触を自動で感知して停止する他、各軸に組み込んだ柔軟なバネ機構により人の手で簡単に押し戻すことができ、安全性が高い。上部に搭載した液晶ディスプレーには、人の顔をイメージしたアイコンを表示。そのアイコンでさまざまな感情を表現でき、「ロボットに表情を付けることで、一緒に働く人間に親近感と安心感を与えられる」と担当者は話す。

  • 住友商事マシネックスが日本での販売を始めた斗山ロボティクスの協働ロボット

  • 住友重機械工業が展示したソーヤー

ハイウィンは工作機械向けに提案

 機械部品の直動案内機器やボールねじ、工作機械用の回転テーブルなどで知られる台湾のハイウィンは、ロボットメーカーでもある。会場では垂直多関節ロボットを使ったデモを披露した。
 タグの付いた部品やユニットをロボットで工作機械にローディング。部品やユニットに合わせた加工をするデモだ。センサーの技術はハイウィン独自のもので、システムも自社で構築した。
 協働ロボットに対応したロボットハンドも合わせて提案する。開閉位置やスピード、どれぐらいの力でつかむかなど、自在に制御できる。

 日本法人の黄岦弘副社長は「ロボット単体だけでなく、SIerの機能と合わせトータルで提案できるのが強み。来年稼働する新工場をロボット化のショールームとして機能させたい」と意気込む。

  • タグ付けした部品やユニットを工作機械にローディング

  • モーターなどの制御技術を生かしたロボットハンドも提案

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