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2019.05.09

活用事例

[ロボットが活躍する現場vol.3]ロボットを生かすには「標準化」が鍵【前編】/山田製作所(1/3)

産業用ロボットを実際に導入した現場をリポートする連載「ロボットが活躍する現場」。今回は愛知県あま市に本社を置き、円筒形状のワーク(被加工物を意味するワークピースの略)などの研削加工(回転砥石<といし>でワークの表面を仕上げる加工法)を得意とする山田製作所を訪ねた。同社は2台のロボットシステムを保有する。一部のワークの研削加工を自動化し、1日当たりの生産量を大幅に高めた。前編では、同社が導入したロボットシステムを紹介する。いくら投資したのか、そしてどれだけの成果を上げたかをひも解く。

ミクロン単位の精度を追求

山田製作所の会社紹介動画(山田製作所提供)

 山田製作所(愛知県あま市、山田英登社長)は円筒形状のワークなどの研削加工を得意とする。マイクロメートル(μm、1000分の1mm)単位の高い加工精度を追求する。日本人の平均的な髪の毛の太さは約80μmで、それと比較すると同社が目指す加工精度の高さも理解できるだろう。
 高い精度が求められる油圧部品や印刷機械用の部品をはじめ、自動車部品や電動工具用の部品など、幅広いワークの加工を担う。

 取引先の業界も自動車や農業機械、建設機械、電動工具、印刷機器、工作機械など多岐にわたる。売上高の比率はどの業界も1~2割程度。業界ごとの浮き沈みに左右されにくい、安定した経営体制を構築している。

「●を●にする会社」

 「●(丸)を●(まん丸)にする会社」――。
 これは同社のキャッチコピーだ。2つの「●」はどちらも同じで、肉眼では加工前後のワークの見分けがつかないことを意味する。肉眼では分からないレベルの微細な精度で部品を製造するとの自負もキャッチコピーに表した。
 加工だけではなく、仕事に対する姿勢も表現した。円滑に仕事が回すとの意味や、従業員と取引先、地域との輪(和)を大切にするとの意味もキャッチコピーに込めた。

 左下の画像は、キャッチコピーで言わんとすることを視覚的に表現した図形。2つの円は遠目にはどちらも同じに見える。
 右下は、左下の画像を拡大したもの。よく見ると、左右の円の線が違うことが分かる。左の円は「●(丸)」、右の円は「●(まん丸)」を表わすが、左の円の線はぎざぎざしており、右は滑らかな線だ。自社の加工技術を通して、ワークを単なる円から滑らかな真円にするとの意思をこの図形に込めた。

  • キャッチコピーのデザイン図

  • 左の図を拡大したもの

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