[特集FOOMA JAPAN]速報リポート! 今年のFOOMAはロボットだらけ【後編】
開梱作業や箱詰め作業を自動化
段ボール箱からの食材の取り出しや、段ボールへの箱詰めを提案する企業もあった。
飲料容器関連の自動化システムを得意とするエヌテック(岐阜県養老町、小林裕幸社長)は、段ボール箱を開けて中身を取り出す「段ボール開梱装置」を開発し、この展示会で発表した。
ビジョンセンサーで箱の横幅と奥行き、レーザーセンサーで高さを認識。その形状に従ってロボットのカッターを動かし、段ボール箱を開ける。中身の取り出しをロボットにさせることも可能だ。
「段ボールは積み重ねると荷重でたわみ、湿度が高いと膨張する。このため、開梱時に切り損じたり中身を破損したりしやすいが、このシステムなら適切に開梱できる」と担当者は言う。
食品向けの各種装置を製造、販売するイシダ(京都市左京区、石田隆英社長)は、昨年秋に発売した箱詰めロボットシステム「ケースパッカーACP-641」を出展した。コンベヤー上で向きが不ぞろいの対象物をきれいに箱詰めできる。従来のシステムでは対象物を整列させる作業と箱詰め作業で2台のロボットが必要だったが、ACP-641では1台で向きを整えながら箱詰めができる。
構造が簡単になり、従来機よりも3割ほど設置スペースを削減した。担当者は「ロボットに動作を指示するティーチングが簡単。製品や箱のサイズ、入れる個数を入力するだけで稼働させられる」とアピールする。
食品、医薬品向けの検査装置などを製造、販売するアンリツインフィビス(神奈川県厚木市、新美真澄社長)は、自社のX線検査装置とABBのロボットシステム「IRB 360 FlexPicker(フレックスピッカー)」を組み合わせて参考出展した。「X線検査結果で不良だった場合、箱詰めするロボットが見送ることでその製品を除外し、良品だけを箱詰めする」(担当者)。
ジャガイモの芽取りも自動に
北海道の食品機械商社、徳尾商事(札幌市厚別区、徳尾健太社長)は、ジャガイモの下処理の自動化を提案した。自動皮むき機で皮をむくだけでなく、馬場鉄工所(石川県白山市、馬場比世司社長)が製造する「じゃがいも芽取りシステム」でくぼんだ芽まで取り除く。
垂直多関節ロボットの先に付けた棒でジャガイモを刺して保持し、最初に芽の位置を把握するため、ジャガイモをカメラにかざす。次に固定したドリルにジャガイモの芽を当てて、削り取る。棒の付け根付近は死角となるため、もう1台のロボットで角度を変えて保持し、同じ作業を繰り返す。
馬場鉄工所(石川県川北町、馬場比世司社長)の担当者は「ジャガイモ1つ当たりの作業時間は10秒以下。芽の除去率は9割以上。最終確認に人手は必要だが、現状の芽取り作業よりも大幅な省人化ができる」と話す。
不定形物や柔軟物をつかめるハンドが続々と
食品産業にロボットを普及させる上での課題の一つが、形状が一定でなく、柔らかい対象物をつかむこと。そこで注目を浴びているのが、柔らかい素材を使ったロボットハンドだ。
ニッタ(大阪市浪速区、新田元庸社長)は、ウレタン素材のハンド「SOFTmatics(ソフマティックス)」を提案した。最大で4kgの対象物をつかめ、つかんだ物にハンドが食い込むこともない。
同じのコンセプトのハンドは、ピアブジャパン(東京都葛飾区、吉江和幸社長)も展示。「piソフトグリップ」という製品で、会場では卵を持ち上げるデモンストレーションを見せた。来場者は、卵の殻にハンドの爪が食い込まない理由などを熱心に聞いていた。
シブヤマシナリー(金沢市、渡辺英勝社長)は、慶応大学のハプティクス研究センターと共同で開発した「RHI(リアルハプティクス・インテリジェント)ロボットハンド」を参考出品。こちらは柔らかい素材は使っていないが、人と同様の繊細な力加減を実現できる「リアルハプティクス技術」を用いることで、ポテトチップスなどを割らずに搬送して見せた。
対象物を吸い着けて持ち上げる吸着パッドでは、妙徳(東京都大田区、伊勢幸治社長)が風船のような形状の「バルーンハンドSGB」を出展。従来の吸着パッドよりもさまざまな形状にフィットし、吸着時の空気の漏れが少ない。「不定形物や球体、円柱状の対象物をつかむことの多い食品業界におすすめ」と担当者は語る。
今年のFOOMA JAPANの初日には1万9297人が来場した。同展は12日(金)までの開催で、時間は午後5時まで。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也、編集部 西塚将喜)
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