[iREX2025レポートvol.10]マテハンシステムは市場の要求が明確に【前編】
自律走行型搬送ロボット(AMR)や自動倉庫など、マテリアルハンドリング(マテハン)機器の普及が進むにつれ、市場からの要求もより具体性を増している。「2025国際ロボット展(iREX2025)」では「物流システム・ロボットゾーン」を中心に、先進的なマテハンシステムも多数見られた。前編では搬送ロボットに焦点を当て、搬送効率や安全性などを高めた最新技術を紹介する。
小回りや安全性重視に
国内の製造現場や物流拠点ではマテハン機器を導入するに当たり、限られたスペースが制約になるケースが少なくない。そうした現場でAMRや自動搬送フォークリフト(AGF)など搬送ロボットを運用するには、本体サイズのコンパクトさや小回り性能が重要になる。また人と同じ空間でAMRを運用する現場も多く、市場の理解が深まるとともに安全性への要求も上がってきた。
システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のPhoxter(フォクスター、大阪府豊中市、園田淳一社長)は、自社で開発したAMR「StellaDrive(ステラドライブ)」を展示した。搬送ソリューション事業部の矢部秀一さんは「わが社は中国メーカーの搬送ロボットで2000台以上の販売実績がある。その中で寄せられた国内企業からの要望を、ステラドライブに取り入れた」と話す。
その一つが安全性能で、レーザーを照射して周囲を認識する「LiDAR(ライダー)」を、機体の前方と後方に標準搭載するタイプも用意した。可搬質量は400kgと600kg、1tの3種類をラインアップし、さらに可搬質量の高い種類も開発予定という。
小型AMR「kachaka Pro(カチャカプロ)」で注目を集めるPreferred Robotics(プリファードロボティクス、東京都千代田区、礒部達最高経営責任者〈CEO〉)は、小型ながら可搬質量を上げたAMR「カチャカEvo(エボ)」を初披露した。
カチャカプロは潜り込んで運ぶタイプで、可搬質量が30kgだったが、カチャカEvoでは100kgまで搬送できるようになった。「可搬質量100kgのAMRとしては小型で狭所を通りやすい。カチャカプロ同様、設定や操作がユーザー自身で簡単にできる」と辻本隆司名古屋支社長は語る。
アーム付き搬送ロボットにも注目
通常のAMRは搬送の自動化に役立つものの、AMRへ物を置く、AMRから物を受け取る際は人手や専用の置き場が必要になる。人手不足が深刻化する近年はさらに省人化を進めたいとの現場も多く、そこで有効なのがロボットアームを搭載したAMRだ。
中国・深センに本社を置く自律走行型搬送ロボット(AMR)メーカーのYouibot Robotics(ユーアイボットロボティクス)は、協働ロボットを載せたAMR「OWC」で搬送デモを実演した。半導体製造工場をイメージし、ウエハーを収納する容器をOWCの架台に載せて搬送した。容器の受け渡しはOWCの協働ロボットアームが担う。同社は半導体製造工場からの受注が多く、発生する粉じんを抑えるなどクリーンルーム内での稼働に適した仕様にしている。
日本法人の中川健セールスマネージャーは「台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ多くの半導体製造工場で実績がある。今回展では他のAMRやヒト型ロボットも展示し、わが社のロボティクス技術を訴求した」と言う。
SIerのアイズロボ(大阪府寝屋川市、久保光男社長)は、ファナック製の協働ロボットとベトナムのESATECH(イーサテック)のAMRを組み合わせたシステムを提案した。協働ロボットにカメラを取り付け、棚から箱を取り出す、工作機械へ被加工材(ワーク)を供給するなどのデモを披露した。工作機械にはあらかじめマーカーを付けておき、カメラでマーカーを読み取ることで位置を調節しながらワークを供給できる。
久保社長は「わが社は2014年の創業だが、これまで製造業向けに多様な自動化案件を手掛けてきた。試運転まで入念に実施し、トラブルの少ないシステムを提供するのが強み」と胸を張る。

