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2025.09.03
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[特別企画 密着! 高校生ロボットSIリーグvol.3]いざ学校へ、メンバーと初対面/愛知総合工科高校

「第4回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会(高校生ロボットSIリーグ)」が今年12月13日と14日の2日間、愛知県常滑市の展示会場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ、愛知県国際展示場)」で開かれる。ロボットダイジェストでは「特別企画」として、前回大会のチャンピオン校(最優秀賞受賞校)である愛知総合工科高校が今年の第4回大会に挑む様子に密着する。現在進行中の取り組みを追いかけるため、結末は記者にも分からない。第3回では、いよいよ記者が愛知総合工科高校に潜入。第4回大会に挑むチームメンバー6人と出会う。

【前回までのあらすじ】
記者は愛知県庁に行き、高校生ロボットSIリーグの概要を学んだ。第4回大会の競技部門の課題内容は「金属ボトルとペットボトルの分別」だ。何となく難しそうに思えるが、愛知総合工科高校はこの課題にどう挑むのか。6月中旬にパートナーのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)と顔合わせをすると聞き、記者も愛知総合工科高校に向かった。

<前回記事はこちらから>

全体で1280人の生徒数

記者が訪ねた愛知総合工科高校。左上の垂れ幕には昨年の第3回大会で最優秀賞を獲得した時のチームメンバーの名前が

 名古屋市の中でも文教地区として知られる星ヶ丘。「星ヶ丘テラス」や「星ヶ丘三越」といった商業施設や高級住宅街も立ち並ぶこのエリアに愛知総合工科高校がある。
 愛知総合工科高校の最寄り駅は地下鉄東山線の星ヶ丘駅で、名古屋や栄からのアクセスも良い。

 記者が訪問した6月中旬のこの日は、最高気温が35度以上の猛暑日だった。集合時間は午前9時で、記者は星ヶ丘駅から歩いて学校に向かった。
 星ヶ丘駅を出てすぐの大通りに沿って西に5分ほど歩くと、校舎が見えてくる。

 記者は「どんな生徒なのかな。ジェネレーションギャップとかあるのかな。ちゃんと取材できるかな」と楽しみ半分、不安半分な状態で校門に入った。

生徒たちを引率する住原真一工務主任がロボットシステムの設置場所まで案内してくれた

 愛知総合工科高校は2016年4月に開校した比較的新しい工業高校(愛知県は21年4月に「工業高校」を「工科高校」に改称)だ。3年制の5系列7学科と、高校卒業生を対象とした2年制の専攻科に分かれており、最大で1280人の生徒数を擁する。
 事務室で受け付けを済ませると、高校生ロボットSIリーグの第4回大会に挑戦する生徒たちを引率する住原真一工務主任がやってきた。

 軽くあいさつを交わした後、住原工務主任に構内を案内してもらった。実習用の工作機械が大量に設置されている(生徒全員が実習で操作できるように汎用旋盤やフライス盤を多数保有しているそうだ)のを見てテンションを高めながら、第4回大会の競技課題で使用するロボットシステムが置かれた2階の実習室に向かった。

月1回の顔合わせ

6人のメンバーが高校生ロボットSIリーグの競技課題に取り組む実習室。左側のホワイトボードを見ると、既にアイデア出しを進めていることが分かる

 住原工務主任によると、第4回大会に参加する生徒たちは電子情報科3年生のクラスメート6人だという。愛知総合工科高校は毎週水曜日の午前中に「課外授業」を実施しており、6人は毎週水曜日に高校生ロボットSIリーグの競技課題に取り組む。また、月に1回ほどのペースでサポーターのSIerが進捗(ちょく)の確認や基礎知識の指導などで高校を訪ねる予定で、この日がまさにその顔合わせの日だった。
 実習室に入ると、大会で使用するロボットシステムが奥に見えた。愛知総合工科高校は今回、安川電機の垂直多関節ロボットを使用する。

 サポーターを務めるTECHNO REACH(テクノリーチ、愛知県長久手市、加藤正己社長)と石川工機(名古屋市天白区、石川利行社長)の2社の関係者らも既に到着しており、ロボットシステムの調整などをしていた。
 彼らともあいさつを済ませてしばらく談笑していると、授業開始のチャイムが鳴った。学生時代を懐かしむ間もなく、チャイムとほぼ同時に6人の生徒たちが実習室に入ってきた。

 「いよいよ対面か」と緊張感が一気に高まった――。

6人の挑戦を追う

 上に掲載した写真は、高校生ロボットSIリーグの第4回大会に挑むチームメンバーだ。
 写真左から、
 
田中 優奈(たなか・ゆうな)  さん
中村 隼斗(なかむら・はやと) さん
谷口 斗絆(たにぐち・とうき) さん
垣見 勇我(かきみ・ゆうが)  さん
加藤 健真(かとう・けんしん) さん
白井 覚基(しらい・こうき)  さん

――の6人だ。
 彼らはサポーターとどう関わり、競技課題である「金属ボトルとペットボトルの分別」を実現するロボットシステムを構築するのか。大会当日までにプレゼンテーションをどう仕上げるのか。そして、再びチャンピオン校に輝けるのか。

 課外授業への密着取材を軸に、これから数カ月かけて彼らの挑戦の様子を追う。

――vol.4に続く
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史) 

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