[特別企画 密着! 高校生ロボットSIリーグvol.2]そもそも「高校生ロボットSIリーグ」って何だ?/愛知総合工科高校
「第4回高校生ロボットシステムインテグレーション競技会(高校生ロボットSIリーグ)」が今年12月13日と14日の2日間、愛知県常滑市の展示会場「Aichi Sky Expo(アイチ・スカイ・エキスポ、愛知県国際展示場)」で開かれる。ロボットダイジェストでは「特別企画」として、前回大会のチャンピオン校である愛知総合工科高校が今回の第4回大会に挑む様子に密着する。現在進行中の取り組みを追いかけるため、結末は記者にも分からない。第2回の舞台は愛知県庁。記者はそこで高校生ロボットSIリーグの概要を学んだ。
【前回までのあらすじ】
「高校生ロボットSIリーグの前回大会のチャンピオン校(最優秀賞受賞校)の愛知総合工科高校を密着取材してほしい」との愛知県からのオファーを引き受けた。だが、愛知総合工科高校に行く前にまずは高校生ロボットSIリーグの概要を把握しておくべきだと考え、記者はある場所に向かった。
愛知県庁へ
課題は『金属ボトルとペットボトルの分別』
記者「高校生ロボットSIリーグとはどのような大会ですか?」
丸山さん「高校生がシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のサポートを受けながら、約8カ月かけて競技課題やテーマに沿った各校独自のロボットシステムを組み上げ、その完成度を競い合う大会です。SIer業務の理解促進や人材育成を図ることでSIer業界の人手不足の解消につなげたいとの思いで、愛知県が2022年度に大会を創設し、毎年開催しています」
記者「今年12月に開催される第4回大会から競技課題が一新されると聞きました」
丸山さん「第4回大会は『競技部門』と、テーマに沿って自由にロボットシステムを構築する『エキシビション部門』の2部門で構成されます。『競技部門』について、従来は使用するロボットメーカー別に課題が分かれていましたが、今回からは分かりやすさなどを重視して課題を統一します。その内容は『金属ボトルとペットボトルの分別』です。参加校はロボットメーカーや部品メーカーから無償貸与されたロボットや機器類を使ってこの課題を実現するロボットシステムを構築し、会場内で実演とプレゼンテーションをします。『競技実演審査』『審査員審査』『プレゼンテーション審査』『ドキュメント審査』の総合点で順位が決まります」
記者「競技課題の内容について詳しく教えてください」
丸山さん「金属ボトルは空で、ペットボトルには飲料(に見立てたビーズ)が一定量入っており、これらをロボットで分別します。金属ボトルはそのまま所定のボックスに収納すれば大丈夫ですが、ペットボトルはさらにキャップを外し、キャップと飲料と空ボトルをそれぞれ所定のボックスに入れる工程まで挑戦できます」
記者「人なら簡単に分別できそうですが、ロボットでそれをやろうと思うと何だか難しそうです。第4回大会ではどんなところを来場者に見てほしいですか?」
丸山さん「第4回大会には過去最多の20校が参加します。参加校は競技課題を達成するためにさまざまなアイデアを考えます。高校生たちがロボットシステムに取り入れた創意工夫の数々や、サポーターのSIerと共に約8カ月かけて競技課題に挑戦する高校生たちの情熱をぜひ会場で体感してほしいですね」
記者「その参加校の1校が、第3回大会のチャンピオン校の愛知総合工科高校なんですね。密着取材が楽しみになりました。ありがとうございました」
いよいよ高校へ
丸山さんへの取材を終え、高校生ロボットSIリーグへの理解を深めた記者。
今回密着取材する愛知総合工科高校のサポーターは、TECHNO REACH(テクノリーチ、愛知県長久手市、加藤正己社長)と石川工機(名古屋市天白区、石川利行社長)の2社だ。
愛知総合工科高校のチームメンバーと2社は月に1回ほど顔合わせをしており、直近だと6月中旬に予定されているという。記者もその顔合わせに同席することとした。
「いよいよか」――
相変わらずの楽しみ半分、不安半分な状態で記者は愛知総合工科高校に向かった。
前置きが少々長くなったが、これから本格的な密着取材が始まる。
――vol.3に続く
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)