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2024.01.25

イベント

[2023国際ロボット展リポートvol.23]実用性高まるヒト型ロボット/カワダロボティクス、アールティ、TechShare

ヒト型ロボットは大きな注目を集めている分野の一つだ。産業用ロボットとして提案するメーカーは多岐にわたるアプリケーションを披露し、実用性の高さをアピールする。一方、ヒト型ロボットを研究用途に提案する企業もあり、価格競争力の高さなどを武器に攻勢をかける。vol.23ではヒト型ロボットの各社の展示を紹介する。

繊細な作業を難なくこなす/カワダロボティクス

ヒト型協働ロボットが素早くパッケージを組み立てる

 カワダロボティクス(東京都台東区、川田忠裕社長)は、ヒト型ロボットを産業用途に提案する。ブースにはヒト型協働ロボット「NEXTAGE Fillie(ネクステージフィリー)」などネクステージシリーズを利用したデモシステムを8台並べだ。
 担う作業はチューブ製品の箱詰め、ラベルの傷チェック、粉体の計量など多岐にわたる。粉体計量では瓶の中の粉をスプーンですくい、他の瓶へ移し替える作業を規定量通りに正確に行う。いずれも精度の高さが売りだ。

 藤井洋之事業企画室長は「ネクステージフィリーは多様な作業に利用できる。今後もパートナー企業と連携して新しい魅力を探っていきたい」と語る。

ヒト型ロボに4本脚タイプも登場/アールティ

アールティが披露した「Bonobo(ボノボ)」の4本脚タイプ

 アールティ(東京都千代田区、中川友希子社長)は、食品の盛り付けライン向けの「Foodly(フードリー)」など3種類のヒト型協働ロボットを展示した。
 今回初披露したのが、倉庫での軽作業向けのヒト型協働ロボット「Bonobo(ボノボ)」の4本脚タイプだ。直立する2本脚タイプは2021年に発売した。倉庫作業では足踏み式のスイッチを踏む機会が多く、2本脚ではバランスを取りにくい場面もあるため、今回4本脚タイプを開発した。

 中川社長は「特に海外では、軽作業の自動化でヒト型ロボットへの関心が高い。最終的には実用途まで使われればと思うが、まずは2本脚ロボットの行動や制御面の研究開発で、ボノボの引き合いが増えている」と話す。

研究用途に高コスパの中国製ヒト型ロボット/TechShare

テックシェアが展示したUnitreeのヒト型ロボット

 輸入ロボットの販売などを手掛けるTechShare(テックシェア、東京都江東区、重光貴明社長)は、中国Unitree Robotics(ユニツリー・ロボティクス)の二足歩行ロボット「H1」などを展示した。
 H1はロボットの歩行や認知機能の研究開発用で、複雑な地形や環境でも自律的に歩行や走行が可能。身長は約180cm、体重は約47kg。会場では、価格が1580万円からというコストパフォーマンスの高さや、2次開発のしやすさなどをアピールした。また、同じくユニツリーの四足歩行ロボットなども展示した。

 その他、中国DOBOT(ドゥーボット)製の4軸のデスクトップ型アームロボット「MG400」を展示し、コストパフォーマンスが高く、導入しやすい点を訴求した。DOBOT製の6軸協働ロボットや研究開発用6軸小型ロボットアームなども併せて披露し、注目を集めた。

(芳賀崇、西塚将喜、斉藤安紀)

2023国際ロボット展リポート
vol. 1 多彩なアプリケーションを提案/IAI、スター精機、スギノマシン、ベッコフオートメーション
vol. 2 世界をリードするロボット産業に経済産業大臣も期待
vol. 3 パーツフィーダーに加えロボット部品も/NTNテクニカルサービス、シンフォニアテクノロジー、三ツ星ベルト
vol.4 協働ロボの最新モデルを国内初披露/Dobot Robotics
vol.5 物流ロボットで搬送など自動化/ダイフク、オカムラ、ブリヂストン
vol.6 AIやラボ自動化など、29のデモシステムに注目集まる/デンソーウェーブ
vol.7 次世代ロボット発売、メイン展示は具体性増す/安川電機
vol.8 商社ならではの提案を/ダイドー、山善、ユアサ商事、リョーサン、愛知産業
vol.9 6つの自動化ソリューションに注目集まる/Mujin 滝野一征CEO
vol.10 独自色を出すSIer【前編】/三明機工、豊電子工業、高丸工業
vol.11 独自色を出すSIer【後編】/三和ロボティクス、HCI、日本ロボットシステムインタグレータ協会
vol.12 多様なニーズに応える真空ハンド・吸着パッド/シュマルツ、ピアブ、コンバム、日本ピスコ、日東工器
vol.13 協働ロボットの普及はまだまだ“初期段階”/ユニバーサルロボット ステイシー・モーザーCCO
vol. 14 各社各様でロボットメーカーの個性光る/川崎重工業、ダイヘン、エプソン
vol. 15 各社各様でロボットメーカーの個性光る【後編】/三菱電機、ファナック、オムロン、不二越
vol.16 搬送ロボットも多数出展/ヤマハ発動機、MiR、シナノケンシ、ビジョンナビロボティクス
vol.17 物流向けロボットシステムに脚光/XYZロボティクス、ユーシン精機、芝浦機械、THK
vol.18 海外ブランドの協働ロボも多数出展/テックマンロボット、AUBOロボティクス
vol.19 ロボットにプラスαで機能を付与/ATI、ワコーテック、三共製作所、木村洋行、テイアイテイ、リモートロボティクス
vol.20 システムの立ち上げが簡単に/OnRobot、京セラ、チトセロボティクス、シュンク、アジリル
vol.21 多様なニーズに応えるビジョンセンサー /メックマインド、ティーイーエム、Eureka Robotics、マイクロ・テクニカ
vol.22 空圧機器だけじゃない!/SMC、CKD、フエスト
vol.23 実用性高まるヒト型ロボット/カワダロボティクス、アールティ、TechShare
vol.24 要素部品でも新製品、新提案が多数/ナブテスコ、ハーモニックドライブ、ハイデンハイン、オリエンタルモーター、住友重機械工業
vol. 25 独自構造で他にないソリューション/ローレルバンクマシン、コスメック、フエニックスコンタクト
vol.26 それぞれのアプローチでロボット普及を推進/パナソニックHD、KUKA、ハイウィン、ファーロボティクス、山洋電機、NEDO

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