[2023国際ロボット展リポートvol.10] 独自色を出すSIer【前編】/三明機工、豊電子工業、高丸工業
2023国際ロボット展(iREX2023)にはメーカーや商社だけでなく、ロボットシステムの構築を担うシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)も出展した。各社とも自社の強みを生かした製品やシステムの提案に力を入れる。今回展では、デジタル技術を活用した展示をする企業が目立った。
実習をより安全に/三明機工
三明機工(静岡市清水区、久保田和雄社長)は、物理演算エンジンを使ってロボットシステムを仮想空間上に再現する「デジタルトレーナー」を展示した。
複数メーカーのロボットとその動作を登録した3Dシミュレーターをパソコンに搭載しており、実物のティーチングペンダントを使用しながら、モニター上でロボットを操作できる。
日本ロボットシステムインタグレータ協会(SIer協会、会長・久保田和雄三明機工社長)が主催する「SI検定」の検定機としても採用されるシステムだ。
また、モニター画面ではなくVR(仮想現実)ゴーグルを使ったデジタルトレーナー「MR(複合現実)デジタルトレーナー」も体験展示した。こちらは開発中のシステムだ。
担当者は「実機による実習だと、けがや破損の恐れがあるが、デジタルトレーナーはその心配がなく、安全に学習できる。ロボット操作が初めての人は、まずはデジタルトレーナーを使ってみてほしい」と話す。
ブースにも、仮想空間にも/豊電子工業
豊電子工業(愛知県刈谷市、盛田高史社長)はフランスのソフトウエアメーカーのダッソー・システムズと合同でブースを構え、固定した産業用ロボット4台と、協働ロボットを搭載した自律走行型搬送ロボット(AMR)2台で構成された自動化ラインを展示した。
ブースではアルミ部品のバリ取りや組み立て、検査などの一連の作業をロボットで自動化した他、協働ロボットを搭載したAMRで工程間搬送も自動化した。
また、ダッソー・システムズの3Dシミュレーションソフトウエア「DELMIA(デルミア)」などを使用し、仮想空間上にも同様の自動化ラインを構築。デジタルツインの技術を生かした動作検証のデモも併せて紹介した。

