将来はOEM供給も、専用機メーカーが物流自動化に本腰/竜製作所
専用機メーカーの竜製作所(名古屋市南区、石田恭一郎社長)が物流倉庫の自動化提案に本腰を入れている。自動搬送ロボットを開発、製造、販売する米国のスタートアップ企業であるインビアロボティクスの代理店として、日本での輸入販売に力を注ぐ。自動搬送ロボットを中核とした倉庫内物流システムの提案や導入支援などを担う専門部署を組織した他、実機見学が可能なショールームも名古屋市内に設立。日本の物流現場の省人化や業務効率化に貢献しながら販売実績を積み重ね、将来的にはインビアロボティクスのロボットを日本市場でOEM(相手先ブランドによる生産)供給する狙いだ。
箱類の搬送を自動化
竜製作所は20年6月にインビアロボティクスと資本業務提携を結び、倉庫内自動搬送ロボットの輸入販売に乗り出した。 インビアロボティクスのロボットは倉庫などに保管された段ボール箱などの箱類の搬送を自動化できる。 作業者が待機するピッキングステーションから箱類を一時的に保管する集荷棚までロボットが行き来する仕組みを構築すれば、人の元に品物を集める「Goods to Person(グッズ・トゥ・パーソン)」を実現できるのが特徴だ。 物流現場では従来、品物のオーダーが届くたびに作業者が保管棚まで移動し、箱類から必要な品物をピッキングしていた。近年はeコマース(電子商取引)の需要拡大と合わせて物量が増加傾向にあるが、物流業界ではピッキングを担う作業者が不足しているのが実情だ。インビアロボティクスのロボットはこうした課題を解決でき、物流現場の省人化や業務効率化を実現する。
入念なサポートが欠かせない
竜製作所はインビアロボティクスの代理店として、日本の物流関連企業へのソリューション提案や導入支援、アフターサービスなどを手掛ける。客先の倉庫内レイアウトや出荷頻度の情報を基に、物流効率を最大化するロボットの動線や台数、出荷方法を提案する。石田社長は「物流業界にはロボットの取り扱いに慣れていないお客さまが多い。だからこそ、安心して導入してもらうためにも入念なサポートが欠かせない」と強調する。 インビアロボティクスとの資本業務提携を結んだ2カ月後の20年8月には、専門部署として「AIロボティクス事業部」を組織した。現在は3人体制で物流関連企業への倉庫内物流システムの提案に取り組む。 また、21年4月にはショールームも名古屋市緑区に設立し、ロボットの特徴や性能をアピールする環境も整えた。石田社長は「ショールームの見学希望者は非常に多い。運輸業や倉庫業といった物流関連のお客さまだけではなく、製薬会社やアパレル会社、通販会社、食品関連会社など自社で倉庫を保有するお客さまもこれまでに訪問してくれた」と手応えを語る。