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2021.05.19

部品の組み付けなどに! 腕上げ作業のアシスト装置を発表/イノフィス

東京理科大学発のベンチャー企業、イノフィス(東京都新宿区、折原大吾社長)は5月17日、腕を支えるパワーアシスト装置「マッスルスーツGS-ARM(アーム)」を発売した。電源不要で使用でき、腕を上げた姿勢での作業の負担を軽減する。

3.2kgと軽量ながら、十分なアシスト力

重量は3.2kgと軽量で小型な「マッスルスーツGS-アーム」

 マッスルスーツGS-アームは上半身に装着して使うパワーアシスト装置。重量は3.2kgと軽量ながら、標準タイプで最大4.5kg分だけ片腕を支える。成人男性で平均3kg程度の腕の重さだけでなく、作業用の道具の重さも含めて重力を相殺できる。

 製造業では、部品の組み付けや組み立て作業、上向きで電動工具や溶接機器を扱う作業などで用途を見込む。工場などの設備点検や建設業、農業分野も含めて、実証実験を進めている。
 価格は消費税込みで13万2000円。初年度に2000台の販売を目指す。

簡単に腕を下せるのも、同製品の特徴

 同製品は、装置を付けた状態でも腕を自由自在に動かせるのが特徴。腕の角度に応じてアシスト力を変化させるなど、腕を下ろしたり横に広げる際に余計な負荷が生じない機構を開発した。
 道具などを持ったまま、手を上下左右に動かして作業する際にも腕の可動範囲が狭まらない。

適用部位と用途を広げる

折原大吾社長は「今後は適用部位と用途を広げていきたい」と話す

 同社は「マッスルスーツEvery(エブリー)」など、重量物を持ち上げる際に腰を支えるパワーアシスト装置を開発してきた。昨年末にはシリーズ累計の出荷が、1万6000台を超えるなどの実績を持つ。

 折原社長は「今後はマッスルシリーズの適用部位と用途を広げていきたい」と話す。
 既存製品にも腕を補助する「マッスルアッパー」があるが、重量物を持ち上げる用途に向くため、アシストの出力も、装置自体も大きい。
 今回のマッスルスーツGS-アームは必要最低限のアシスト力を発揮しながら、軽量で小型な装置を目指して開発した。
 従来のマッスルシリーズではアシスト力を生むために人工筋肉を使ってきたが、今回は高圧ガスを使ったガススプリングを採用し、駆動装置を小型化した。

 折原社長は「筋力の少ない高齢や女性の作業者には、腕を長時間上げ続ける作業が負担。今回の製品でその負担を軽減する。人手不足に悩むさまざまな現場で、ダイバーシティー(人材の多様化)に貢献したい」と意気込む。

(ロボットダイジェスト編集部 西塚将喜)


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