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2020.11.17

ロボティクス・マテハンの拡充に注力/西部電機

立体自動倉庫や搬送機器メーカーの西部電機は、重量物や長尺物に対応する搬送装置を得意とするが、最近ではロボットを使った「ロボティクス・マテハン」にも力を入れる。今年9月には、ロボティクス・マテハンの一環としてパレタイジング、デパレタイジングシステムの新製品を発売した。溝田安彦事業部長は「市場の変化に対応しスピーディーに開発を進めるには、人員体制の充実が重要」と話し、人材採用や育成にも注力する。遠隔での立ち上げノウハウを確立するのが課題で、そのノウハウを海外市場の開拓にも生かす考えだ。

強みを成長分野に生かす 

 搬送機器と工作機械、産業機械の3事業を柱とする西部電機。その中で、マテリアルハンドリング(ものを移動させる作業、以下マテハン)に関わる搬送機器を取り扱うのがマテハン事業部だ。立体自動倉庫やスタッカークレーン(自動倉庫用の入出庫装置)をはじめとする自社製品の他、ピッキング(集荷)システム、ロボットシステムなどを開発、製造する。

 最近では、ロボットを使ったパレタイジング(積み付け)やデパレタイジング(荷下ろし)システムを「ロボティクス・マテハン」と銘打ち、開発や販売に取り組んでいる。
 2017年に「ロボティクス・マテハン」の商標を取得し、同分野の製品を積極的に展示会に出品するなど力を入れる。溝田事業部長は「新しい領域として、物流の出入口であるパレタイジング、デパレタイジング市場を開拓したい。今後、マテハン事業の新しい柱に育てていく」と期待を寄せる。

  • 自社工場にも大型のスタッカークレーンを設置

  • 高速面デパレタイジング装置「フェースピッカー」

新製品を続々発売

 現在特に力を入れる取り組みの一つが、ロボティクス・マテハン関連製品の新規開発だ。昨年末に開かれた「2019国際ロボット展(iREX2019)」にはデパレタイジングシステム「ファインピッカーC」や、同システムと連携できるフリーサイズ対応の高速ケース自動倉庫システム「RIO(リオ)システム」、6輪カート自動積み付けシステム「カートケースローダ」を展示。今年9月には、これらの出品機を製品化して発売した。

 同社は人工知能(AI)のプログラムやビジョンセンサーは外部から調達しているが、ロボット先端の吸着ユニットなど含め機械的な部品はほぼ全て内製している。
 「デパレタイズシステムでは、よく使われる垂直多関節ロボットにはこだわらず、直交型の構造を採用した。人手作業並みの速度の自動化機器(1時間当たり600ケース)から高速の自動化機器(1時間あたり2500ケース)まで開発し、製品のシリーズ化を進めている。さらにその先の開発計画としてトラックヤード(荷物をトラックに積み込む場所)への自動搬送やトラックへの自動積載システムの開発を進める」と溝田事業部長は言う。

  • ファインピッカーCとRIOシステムが連携してデパレタイズする

  • 新製品のカートケースローダ

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