物流が変わる! 注目浴びる新世代AGV【前編】
SLAM方式が続々と
AGVが今、大きな注目を浴びている。大きな理由の一つが、SLAM(スラム)技術を採用した新世代AGVの登場だ。
従来は床面に敷設された磁気テープの上を移動するなど、あらかじめ定めたコース上を移動するAGVが主流だった。しかしスラム方式のAGVなら、レーザーセンサーなどで周囲の状況を把握し、自分がいる位置を推定して自律的に目的地まで移動できる。
各社は搬送ロボットや自律移動ロボット(AMR)など、さまざまな呼称で従来型AGVとは一線を画すものだとアピールする。
AGVは工場内での部品や中間製品の搬送にも使われるが、展示会などで来場者の関心がとりわけ高いのが、物流向けのAGVだ。可搬質量の大きい製品は、多数の荷物が載ったパレット(荷物を積む荷役台)を運んだり、棚の下に潜り込んで棚ごと荷物を運搬できる。また、可搬質量の小さい製品は、倉庫の中から指定された製品を集めるピッキング作業などで活躍する。
インターネット通販の台頭により物流の需要は増す一方だが、人手不足により人材を集めにくい状況が続く。また、先を見通せない時代に、自動倉庫などに比べて初期費用を抑えられ、柔軟に運用できる自動化設備として物流用AGVへの期待は高い。
既存の設備やシステムをベースに導入
2月12日~14日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた展示会「スマート工場 EXPO」や同時開催の「ロボデックス」でも、多くの企業が新世代のAGVを展示した。新型肺炎のニュースが連日報道される中での開催だったが、各社のAGVの周りには来場者が絶えなかった。
GROUND(グラウンド、東京都江東区、宮田啓友社長)は、中国のロボットメーカーと共同開発するAGV「PEER(ピア)」を出展した。
同社は、人工知能(AI)を使った自社開発の物流向けソフトウエア「DyAS(ディアス)」などを活用し、物流拠点の自動化や物流工程全体の最適化を支援する企業。そのシステムに組み込むための製品としてピアを開発した。