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2019.09.27

連載

[注目製品PickUp!vol.18]性能と操作性が高い卓上ロボット【前編】/蛇の目ミシン工業「JR3000シリーズ」

ミシンメーカーの蛇の目ミシン工業は、自社設備として卓上ロボットを開発し、1993年に外販を開始した。現在のメイン機種は2014年発売の「JR3000シリーズ」。ミシンメーカーとしてのノウハウを生かし、高い剛性と繰り返し精度を実現した。また、老若男女が使う家庭用ミシンの開発力を生かし、高い操作性も実現した。使い勝手への評価は、リピーターの多さにも表れている。

ミシンメーカーのロボット

 蛇の目ミシン工業は家庭用ミシンをメインとするメーカーだ。ミシンに使うモーターを内製するため、モーターの制御技術も蓄積しており、それをロボットに生かした。
 ロボットを手掛ける産業機器事業の主力製品は、電機業界の組み立て工程などで使う卓上ロボと、自動車業界の精密カシメ工程などで使うサーボプレス(エレクトロプレス)だ。

 卓上ロボは刺しゅう機能付きミシンのモーター制御技術をベースに開発し、1993年には外販を開始した。90年代は大量生産向けのライン生産方式から、1人または少数の作業者チームで製品の組み立て工程を完成まで行うセル生産方式が主流となり、やがて「一品一様」のような多品種少量生産へと移行した。外販を開始した当初のモデルは「JR500」。

 手掛けてきたのは「家庭用」ミシンのため、卓上ロボでも老若男女にとり使いやすい高い操作性が設計思想の根本に盛り込まれた。現在まで続く卓上ロボのベースとなった「JR2000シリーズ」では、ロボットを操作するためのティーチングペンダント(オプション)に対話式の入力方法を採用し、専用のソフトウエアも開発、実装した。

 この対話式が「画期的な変化であり、使い勝手の大幅な向上を実現した」と、産業機器営業本部長の保坂幸夫常務執行役員は振り返る。さらにそれを進化させた「JR2000Nシリーズ」、そして現在の「JR3000シリーズ」へとつながった。

塗布、ねじ締め、はんだ付け、基板分割など

「一度使えば『とりこ』になってくれる」と話す産業機器営業本部長の保坂幸夫常務執行役員

 2014年に発売したJR3000シリーズは、高剛性で高精度な卓上ロボット。基本形の3軸タイプの可動範囲(X×Y×Z)は、最小のJR3203で200×200×50mm、最大のJR3603で510×620×150mm。
 接着剤などの塗布、ねじ締め、はんだ付け、基板分割などさまざまなアプリケーション(用途)に対応できる汎用性の高さも大きな特徴だ。
 ミシン製造で培った製造技術を生かし、高い剛性による動作の安定性や、高い繰り返し精度を実現している。

 今年8月には、同シリーズの基板分割向けパッケージに新製品の下方集じん式の「JR3303EBV」をリリースした。電子基板を切断して分割する際に、基板により近い位置で切りくずを下から吸引できる下方集じんユニットを搭載した。
 同じくパッケージ製品である「ねじ締めロボット」は、ねじ締めドライバーごとの仕様に対応し、卓上ロボにねじ締めドライバーセットとねじ供給機を組み合わせたものを標準とする。コストを抑えて設定も簡単にした、ねじ締めの自動化パッケージ提案だ。

 また、パッケージではないものの、カメラを搭載した塗布仕様の「JR3000AP-D」もある。接着剤などの精密な塗布作業に対応するため、高剛性で高精度なJR3000シリーズにカメラやレーザー変位計、塗布するための針状の先端部分(ニードル)の調整ソフトなどを搭載する。

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