[注目製品PickUp!Vol.5]最小、最軽量の持ち運べる6軸ロボット【後編】/安川電機 「MotoMINI」
安川電機の産業用ロボット「MotoMINI(モートミニ)」が6軸の垂直多関節ロボットとして業界最小、最軽量(同社調べ)を実現できた要因は、内骨格構造と樹脂製カバーの採用だ。大幅に軽量化したことで、小型モーターでも十分にアームを動かせるようになり、ロボット全体を小型化できた。部品コストを抑えたことで同社のラインアップの中で最も低コストで導入できる産業用ロボットになった。導入コストが低ければ中小企業も導入しやすく、ロボットの普及を後押しできる。
内骨格構造で軽量化
その結果、「外骨格構造にするよりも3〜4kg軽くできた」(浪江課長補佐)という。大幅に軽量化できたことで、以前の最小機種に比べても一気に小型化できた。浪江課長補佐は「従来の最小機種の半分近くまで小型化した」と話す。
安全柵いらずで新規ユーザーも
モートミニが搭載するモーターは全軸とも80W未満の低出力。80W未満の場合、労働安全規則が定める産業用ロボットに当てはまらず、法令上、安全柵がなくても設置できる。 浪江課長補佐の上司でモートミニの開発を監督する立場だった岡久学ロボット技術部部長は「ただ、ロボットの関節のすき間に手や指を挟んだりするとけがをするので、何らかの安全対策はお願いしている」と話す。 接触で自動停止するタイプの協働ロボットとは違うものの、安全柵が不要なだけでユーザー層は一気に広がる。従来の産業用ロボットのユーザーは製造業がほとんどだったが、金融関係など一部のサービス業でも引き合いがあるという。学生や、システムインテグレーターの新入社員の教育用にも使える可能性がある。 今後、そうした事例が増えて新たな市場が生まれれば、さらに開発を進める余地もある。モートミニのプロトタイプ完成から約3年が経過しており、モーターや要素部品も進化している。「もし今から開発すれば、より一層小型化や性能向上が期待できる」と岡久部長は話す。