今年度内にAMRの群制御システム実装へ/Keigan
Keigan(ケイガン、京都府精華町、徳田貴司社長)は、2021年に自社開発した自律移動型搬送ロボット(AMR)「KeiganALI(アリ)」のユーザーインターフェース(UI)を更新しつつ、複数のロボットを同時に動かす群制御システムの今年度内の実装を目指す。ケイガン・アリはセットアップが簡単で、自律移動のSLAM(スラム)式とテープに沿って移動するライントレース式を自在に切り替えられることが特徴。大手チェーンレストランで配膳に採用された実績もある。徳田社長は「より広く使ってもらうには、エンジニアでなくても使えるUIが必要」と開発の意気込みを語る。
専門知識なくても使えるUIを
ケイガン・アリは、自律移動に必要なマップ作成や経路設定がスマートフォン(スマホ)やタブレットを使い簡単にできる。また、自律移動のスラム式とカメラを使ったライントレース式を切り替えられるのが特徴。例えば、工場内の通路ではスラム式で移動し、ライントレース式に切り替えてコンベヤーのそばに正確に停止するような使い分けができる。 この技術を活用し、工場だけでなくレストランや倉庫内物流への拡販を図る。今年1月には大手チェーンレストランで配膳や食器の運搬に採用されたが、より広く販売につなげるにはさらなる改良が必要。「レストランの従業員はエンジニアではない。本当に誰でも使えるAMRとするには、もっと使いやすいUIが必要。また、現場によっては複数のAMRを交通整理しながらうまく動かすための群制御システムが求められる」と徳田社長は語る。 足元では、顧客の現場に合わせたUIと自動運転機能の改良に力を入れながら、拡張オプションとして群制御システムの今年度内の完成を目指している。その他、顧客のパソコンやPLC(プログラマブルロジックコントローラー)で制御できるようにとのニーズもあり、対応を進めている。
人と協働するのに適した仕様
21年7月に発売したケイガン・アリは、奥行きと幅が45cm、高さは30cmほどで、シルエットは立方体に近い。荷台の下から持ち上げる方式のAMRも多いが、ケイガン・アリは上に載せる方式。可搬重量は30kgだ。 「人が1人で持てる重さに近い。コンパクトで、人と同じ空間で作業するのに向いている」と徳田社長は説明する。 また、稼働時の音声に声優の高野麻里佳さんを起用。「工場内での声の通り方を比較して採用を決めた」と話す。 搭載するモーターは、徳田社長も設計に携わった自社製品の「KeiganMotor(モーター)」が原形になっている。同社はもともとケイガン・モーターの開発や製造をするために16年に設立され、「Quick and Easy Robot for Everyone(クイック&イージーロボット・フォー・エブリワン)」を経営理念に掲げる。日本語では「人の役に立つロボットを驚くほど簡単に、かつ瞬時につくることのできる仕組みを多くの人々に提供し、社会に貢献する」との思いが込められている。 ケイガンは「本質を見抜く」という意味の「慧眼」が語源。ケイガン・モーターもケイガン・アリも、「使いやすく、すぐに使えることを最大限に追求した」と徳田社長。ケイガン・モーターはUSBタイプCの給電ポートを備え、スマホやタブレットのアプリで操作できるなど、コンシューマー(一般消費者)を意識したインターフェースが充実している。