ABBが新型の協働ロボット2機種を発売
スイスに本社を置くロボット大手のABBは2月24日に開いたオンライン記者発表で新型の協働ロボット2機種を発表した。新機種の名前はGoFa(ゴーファ)とSWIFTI(スイフティ)。同社のロボット事業を統括するサミ・アティヤ社長は「使いやすく設定も簡単。製造業のみならず、あらゆる規模の企業や新しい産業分野でのロボットの初採用にも最適」と自信を見せる。2機種とも同日に販売を開始した。国内では今年前半を目標に準備が整い次第、受注を開始する予定。
5倍速い協働ロボ
協働ロボットは、安全柵などの物理的な安全対策を必要とせず、作業者の立会いの下で動作するように設計されており、使用や設置が非常に簡単だ。 いずれの機種も主なターゲット市場は、製造業、医療研究室、物流拠点、倉庫、作業場、小規模な生産施設など。マテリアルハンドリング、機械加工、部品組立、梱包といった工程を自動化しやすいように設計されている。 両機種とも直感操作型の仕様で、教示のためのプログラミングは必要ない。導入時には状態監視と診断ができる「スタートアップパッケージ」が付帯し、「サポートホットライン」も6カ月間無料で使える。
協働ロボット市場の攻略に本腰
これまで同社の協働ロボットは、双腕型の協働ロボットYuMi(ユーミィ)と、可搬重量0.5㎏の軽作業向け単腕型「シングルアーム・ユーミィ」の2機種のみであった。 今回の2つの新機種によりいよいよラインアップがそろった格好になる。協働ロボット市場の攻略に本気を出してきたとみて間違いない。 同社はラインアップ拡充の理由を「消費の個別化、労働力不足、デジタル化、不確実性」という4つのメガトレンドへの対応と説明する。 また、欧州、米国、中国で1650社の経営者を対象に同社が今年1月に実施したグローバル調査では、84%が今後10年間でロボット・自動化設備を導入するまたは増やすと回答。85%が「新型コロナウイルス禍は自動化投資を加速させる」とした。また、78%が「単純作業のために労働者を採用し維持すること」がより切迫した課題と述べた。 アティヤ社長は新機種発表会見で力強くこう語った。 「コロナ禍で変化が加速しています。市場の形も変わりました。アフターコロナの時代になればデジタル化と不確実性はさらに加速するでしょう。もっと安全で、簡単に使え、速くて、パワフルで、生産性と柔軟性が高いことを目標に今回の2機種を開発しました。これまで自動化に取り組めなかった小規模企業にも非常に向いています。われわれはこの協働ロボットを社会におけるパソコンやスマホのような位置づけにしたいと考えており、これらがその最初の一歩になると確信しています」。
(ロボットダイジェスト編集長 八角秀)