[エディターズノートvol.17]歴史に学ぼう
直近で、ドイツ・ミュンヘンで開かれた「automatica(オートマティカ)2025」や、東京と千葉で開かれた「ものづくりワールド」と「インターフェックスジャパン」の展示リポート記事を公開した。まだ公開はできていないが、この他にも展示会のリポート記事が控えている。
ロボット産業は技術開発が活発で、展示会ではいつも新たな技術やアイデアに驚かされる。完全な新製品ではなくても、新仕様の追加や新たなアプリケーション(使い方)への適用、ソフトウエアのバージョンアップなどを各社は常に続けている。新提案の中には、狙い通り将来大きく花開くものや、狙いとは違う分野で活用されるもの、残念ながら歴史に消えてしまうものなど、さまざまなものがあるだろう。単純に優れた技術が残るとは限らず、新提案が定着するか否かは未来でなければ分からないが、その確率を上げるための唯一の方法は歴史に学ぶことだ。
ロボット産業の歴史を学びたい場合にどうすればよいのか、体系的にまとめられたものはないだろうか。そんなあなたにお勧めしたいのが、国立科学博物館の産業技術史資料情報センターがまとめる「技術の系統化調査報告書」だ。産業用ロボットの調査報告書はこれまで2004年版が最新だったが、今年6月に同センターのウェブサイトで最新版が公開された。誰でも無料で全文を読むことができ、会員登録なども不要だ。
調査してまとめたのは、日本ロボット工業会のシステムエンジニアリング部会長を長年務め、日本ロボット学会会長などの要職を歴任した小平紀生氏。小平さんはロボットダイジェストで2019年~20年に連載していた「ロボット現役40年、いまだ修行中」の著者でもある。
9月13日には東京・上野の国立科学博物館で、小平さんによる同調査に基づく公開講座も開かれる。会場が博物館内になるため通常の入館料(一般630円、高校生以下と65歳以上は無料)は必要だが、講座自体は無料だ。東京近郊の方はぜひ行かれてみては?
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)