[2023国際ロボット展リポートvol.26] それぞれのアプローチでロボット普及を推進/パナソニックHD、KUKA、ハイウィン、ファーロボティクス、山洋電機、NEDO
高速・高精度なリニアサーボシステムを披露/山洋電機
山洋電気は、自社製のサーボモーターやサーボアンプ、モーションコントローラーを組み合わせたSANMOTION(サンモーション)ブランドの「リニアサーボシステム」を展示した。
チップマウンターなどに向けて提案する製品で、クリームはんだ塗布機などの極小ピッチの連続位置決めも高速・高精度でできる。従来の2軸から、4軸を一体ユニットとしたことで、実装機のヘッドを軽量、コンパクト化できる。
同システムを標準ラインアップ化して披露するのは今回展が国内初で、俊敏な動きは子どもを含む多くの来場者の目を引いた。マーケティング部の武山由起夫次長は「高速化のニーズは高く、来場者からは『新鮮だ』との好評価を得た」と手応えを語る。
撮像装置とロボットで仕分け作業を自動化/NEDO
企業だけでなく、公的機関も国際ロボット展には多数出展した。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースでは、NEDOの事業成果として同機構が委託や助成をした先進的なロボット研究の事例を多数展示した。
NEDOの事業を活用してパナソニックコネクト(東京都中央区、樋口泰行社長)などが開発に取り組んでいるのは、小売店に向けた撮像装置とロボットを組み合わせたシステムだ。
コンベヤー上を流れる商品をカメラで認識し、データベースの情報と紐付ける。その情報をロボットに転送し、仕分け先の籠に運ぶよう指示する。搬送にはロボットアームを搭載した自律搬送型ロボット(AMR)を使っており、籠に一定数の商品を入れると、籠ごと特定の場所に移動させるように設定した。
パナソニックコネクトの中西清史シニアエキスパートは「商品のデータベースを構築するために、撮像装置も開発している。1度の撮像で商品を360度の全方向から認識でき、商品の表面の反射に対して自動で照明を制御する機能も備える。そうして商品のデータベースを作り、ロボットと連携させて仕分け作業の効率的な自動化システムを実現したい」と話す。
このシステムは、来年度中の実証実験開始を目指している。
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これまで取り上げてきた他にも、会場にはさまざまなロボットシステムやロボット向けの提案が展示されていた。
国際ロボット展は2年に1度、西暦奇数年度に開かれる展示会で、次回は2025年11月下旬〜12月上旬の開催を予定している。
――「国際ロボット展リポート」終わり
(芳賀崇、曽根勇也、松川裕希、斉藤拓哉、水野敦志)

