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2024.01.15
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[ロボットが活躍する現場vol.32]状態にばらつきのあるエアコン室外機を自動分解/パナソニックエコテクノロジー関東

AI活用には条件設定が重要

自動分解システムについて語る様子。左からPETECKの斉藤了平主任、小林靖弘社長、パナソニックホールディングスの阿部成孝主幹技師

 システム開発にあたり、技術的な課題は3つあった。  そのうちの1つはビスの認識で、室外機ごとにビスの汚れやさびの程度が異なる。カメラで撮った室外機の画像から人工知能(AI)技術でビスを漏らさず認識するが、阿部主幹技師は「初めは誤認識でロボットに無駄な動作が発生するなどの問題があり、AIの設定に特に苦労した。AIを正しく機能させるためには適切な条件設定が重要で、そこにノウハウがある」と説明する。  課題の2つ目は、解体する際に人がしていた動きを、ロボットでどう再現するかだった。ビスを外した後でもカバーは本体にはめ合わされているため、ただ一方向に引っ張っても取れない。そこで正面や側面のカバーを取り外す際に、つかんだカバーを揺らしてうまく外れるようにした。

工程全体の自動化を目指す

「分解工程ならではの視点を生産にも生かしたい」と語る小林靖弘社長

 課題の3つ目はエアコンの型番ごとにビスの位置や本数が異なることで、これに対しては自動分解時のデータを蓄積してデータベースを構築中だ。登録済みの機種であればビスの本数や場所などのデータを参照できるようになり、ビスの認識や最適な動作経路の設定などに役立つ。  現状はパナソニックの機種のみ登録済みだが、他社の製品も登録できるように開発を続けている。  小林社長は「構築したデータベースを、製品の設計にも活用できないかと考えている。再利用しやすい素材や構造など、分解工程ならではの視点も生産に生かせるようになる」と語る。  今後はシステムの処理速度の向上や対象機種の拡大に加え、内部部品の分解工程の自動化も狙う。  阿部主幹技師は「配線の切断やファンの取り外しなど、自動化できそうな工程の検証を重ねている。一連の分解工程を全て自動化できれば理想的」と話す。

(ロボットダイジェスト編集部 水野敦志)

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