[ロボットが活躍する現場vol.3]ロボットを生かすには「標準化」が鍵【前編】/山田製作所
30品種のワークを加工
2台のロボットシステムは、17年と18年にそれぞれ導入した。補助金を活用しながら、17年のロボットシステムには総額で約2700万円、18年のロボットシステムには約2800万円を投じた。 ロボットシステムは両方とも、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のROSECC(ロセック、名古屋市名東区、矢本洋一社長)が構築した。 17年に導入したロボットシステムは、ばらばらに積まれたワークをカメラで認識し、ロボットがワークを円筒研削盤に供給するタイプ。加工後のワークを円筒研削盤から取り出し、専用のストッカーに排出するのもロボットの役目。作業者が従来、手作業でやっていたワークの供給と搬出を自動化した。 「これまでは人が8時間、円筒研削盤に付きっきりで作業していた。だが、ロボットシステムを導入してからは、人の作業はワークを補充することと、段取り替え(セッティングの変更)だけになった。ワークの補充だけなら、作業は最短3分で終わる」と山田社長は語る。
120個が140個に
一方、18年に導入したロボットシステムは、部品を効率的に供給する専用のパーツフィーダーと垂直多関節ロボットを組み合わせた。 パーツフィーダーは、カメラでワークを認識する方法に比べ、効率的にワークを供給できる。17年に導入したカメラを使うロボットシステムは、ワークを一つ一つ認識する必要がある分、効率はパーツフィーダーには劣るが、比較的多品種のワークにも対応できるなどそれぞれ長所がある。 18年に導入したシステムではパーツフィーダーの性能を最大限に発揮できるよう、このロボットシステムで加工するワークを4品種に絞った。類似形状で、月産1万個と同社の中ではある程度生産量が多いワーク4品種だ。 山田社長は「パーツフィーダーを使えば、人よりも早く円筒研削盤にワークを供給できる。これまで1時間で120個作っていたのが140個になった。稼働時間も従来の8時間から20時間近くに伸び、1日当たりの生産量は急激に増えた」と満足げに話す。 ここまではロボットシステムの概要などについて紹介した。だが、そもそもなぜロボットを導入したのか? そして、なぜ工場で働く女性が多いのか? これらは全て山田社長の戦略によるもの。後編ではその戦略を詳しく紹介する。キーワードは「標準化」だ――。
――つづく (ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)
※この記事は「月刊生産財マーケティング」2019年4月号の「人に知恵 現場に技」を加筆、再編集したものです 関連記事:[ロボットが活躍する現場vol.3]ロボットを生かすには「標準化」が鍵【後編】/山田製作所(4月24日アップ予定)