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2019.03.10
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ロボットやAGV で自動化をもっと”フレキシブル”に

幅が自在に変わる吸着グリッパー

ケイエスエスが展示した、吸着部可動式の真空グリッパー

 2月に開かれた機械要素技術展では、ロボットを他の設備や周辺機器と組み合わせてシステムを構築するシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)の出展が目立った。  技術商社でSIerでもあるケイエスエス(神戸市西区、吉見孝太社長)は、自社開発の真空グリッパー「多軸リニアスライダー」を展示した。真空グリッパーは、ロボットのアームの先に取り付け、対象物を吸着して持ち上げるためのユニット。  多軸リニアスライダーでは4つの吸着部が一列に並ぶが、その4つそれぞれが自在に動くのが最大の特徴だ。つかむ対象物に合わせて吸着部の間隔を変えられる。  ブースでは川崎重工業の双腕型協働スカラロボット「duAro(デュアロ)」に多軸リニアスライダーを搭載し、複数種類のお菓子を一つの箱に詰め、ふたを閉めるまでを自動化した。正方形に近いお菓子の袋と、細長いお菓子の袋、紙箱のふたを持ち上げる時にそれぞれ吸着部の配置を変えて見せた。  「一つの真空グリッパーでさまざまな対象物にフレキシブルに対応できる。自社が組むロボットシステムに使うだけでなく、要望があれば外販も可能」(営業担当者)と言う。

人を避けつつそのまま作業

人を避けながら作業を続けられる

 JOHNAN(京都府宇治市、山本光世社長兼最高経営責任者〈CEO〉)は、電子機器や医療機器の開発、試作、製造などを手掛けるメーカーだ。各種専用機も製造し、ロボットSIer業界にも参入した。  同社はSIerでありながら、米国リアルタイムロボティクスが開発したロボット用知能化ユニット「RapidPlan(ラピッドプラン)」の国内販売代理店も始めた。ラピッドプランは本国では昨年の5月に発売され、日本での販売は昨年末から。  人の接近を検知するとロボットを停止させたり退避させる例はあるが、ラピッドプランを搭載したロボットは人を避けながら作業を続けられる。「モーションプランニングと呼ばれる技術で、人にぶつからずに作業を続けられる経路を即座に生成できる」とJOHNANイノベーションラボ先端技術研究所の森山孝三所長は胸を張る。  ロボットはあらかじめ設定された通りに作業することを得意とし、臨機応変な動作は苦手とされてきたが、「ロボットに思考の柔軟性が出てきた」とも言えそうだ。  ラピッドプランは複数のビジョンセンサーとともに運用するユニットで、協働ロボットのオプションとして提案する。  これらの他にも、多様なオプションの組み合わせでさまざまなユーザーニーズに柔軟に対応するロボットなどがそこかしこで見られた。ロボットが他の自動化機器と最も大きく異なるのが汎用性で、運用の柔軟性を高めることはその強みを改めて押し出す提案と言える。自動化をもっとフレキシブルに――。このトレンドはしばらく続きそうだ。

――終わり (ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

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