欧州最大のロボット展、過去最多の来場者で盛況【前編】/automatica 2025
特殊なロボットも
工業やハイテク産業が盛んなドイツ西部のノルトライン・べストファーレン州に本社を置くベッコフオートメーションも大小間で出展し、モジュール型ロボット「ATRO(アトロ)」などを紹介した。アトロは関節ユニットや、関節と関節をつなぐリンクユニットを組み合わせることで自在にロボットアームを構築できる製品。会場ではリニア搬送装置「XTS」やガイドレス浮遊搬送装置「XPlanar(エクスプラナー)」との連携動作を披露した。
「通常、複数の設備を同期、連携させるシステムの構築には大きな手間がかかる。しかしベッコフの製品であればTwinCAT(ツインキャット)制御プラットフォーム(基盤)で一元的に制御でき、簡単に高度な連携ができる」と日本法人の川野俊充社長は言う。
スイス勢も出展
ドイツ以外の欧州勢も出展し、スイス大手のABBロボティクスは大型ロボットの新製品を発表した。いずれも最新の「OmniCore(オムニコア)コントローラー」に対応し、消費電力を20%削減できる。
会場では新開発の大型ロボットの中から「IRB 6750S」を展示。最大350kg可搬の棚置き型のロボットで、同サイズでは最高クラスの性能を備え、自動車車体のスポット溶接や大型プレス部品の取り出し、建材の切断などさまざまな用途に使えるという。「床置き型ロボットと組み合わせて高密度配置が可能。自動車の車体溶接では1ステーションに合計18台を配置して15秒で最大80カ所をスポット溶接できる」とビジネスラインマネジャーのヨルグ・レーガー氏は言う。
スイスのロボットメーカーのストーブリもさまざまな製品を展示した。中でも力を入れた分野の一つが、クリーン環境向けだ。同社は医薬品製造現場のクリーン環境に向けて、垂直多関節ロボットやスカラロボット「Stericlean(ステリクリーン)ロボット」を提案する。今回展ではそれらと組み合わせて使える搬送ロボット「Sterimove(ステリムーブ)」を参考出展した。各種センサーを全てロボット内部に収めた完全密閉設計で、操作用のボタンは非常停止ボタン以外は非接触型の誘導ボタンを採用した。充電も非接触の誘導充電方式だ。26年の販売を予定する。
前編では地元ドイツやスイスのロボットメーカーの展示を紹介した。後編では日本のロボットメーカーの現地での提案を紹介する。
――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)