[注目製品PickUp! vol.49]今あるAGVがAMRに転身/パナソニック アドバンストテクノロジー「@mobi」
狭い廊下でも荒れ地でも
導入や操作のしやすさだけでなく、高精度自己位置推定機能もアットモビの強みの一つ。これまでの導入で培った独自のアルゴリズム(計算手法)で、搬送ロボットの現在位置を高い精度で推定する。従来の技術では難しかった狭い廊下のスムーズな走行もできるようになり、複雑な構造の工場でも運用しやすくなる。「位置精度が高いため、障害物のすぐそばまで近づけられる」と高橋室長。 アットモビは元々、山林や荒れ地など屋外搬送を想定して開発された。3Dセンサーを使えば、工場内のスロープの3D地図も作成でき、走行経路を生成できる。「既存の技術では起伏がある場所の自律走行は難しい。計測ノイズの除去や欠落したデータの補完など、独自のアルゴリズムを使うことで不整地での自律走行を実現した」と高橋室長は語る。
グループ外に向けた大きな第1歩
パナソニック アドバンストテクノロジーは、システムやソフトの設計、開発が主な事業。パナソニックの本社研究開発部門の先進技術を開発、設計する会社として、2007年に設立した。設立当初は高度化するデジタル家電の開発設計を受け持つことが多かった。 「立ち上げ当初はパナソニックグループ内からの受託開発がほとんどだったが、グループの外にも目を向ける必要があるとの危機感があった」と振り返る。 2013年には関東地区の顧客開拓を目的に横浜市都筑区に横浜拠点を、18年には顧客とのさらなる連携強化を目的に大阪市北区に梅田拠点を開設した。梅田拠点の中には製品開発用のラボも構える。グループ外への積極的なアプローチが功を奏し、グループ内とグループ外の売上割合はほぼ半々になった。 「アットモビは、これまでの経験や知見を生かして開発した初めてのパッケージ製品。グループ外に大々的にPRしていきたい」と高橋室長は意気込む。今年度末には無線化した緊急停止ボタン「機能安全対応 無線非常停止パッケージ」も発売予定で、グループ外に向けた展開にさらに勢いをつける。
(ロボットダイジェスト編集部 斉藤拓哉)