• インタビュー
2022.05.17
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直交ロボット総合メーカーへ! 新規分野の開拓に注力/スター精機 塩谷陽一社長

“親子”の協業を強化

ロボットシステムの製作を手掛けるSIerのスターテクノ(写真は21年12月撮影)

――スター精機だけではなく、SIerのスターテクノ(愛知県岩倉市)、樹脂部品メーカーの国盛化学(愛知県小牧市)の社長も兼務しています。3社の関係性について改めて教えてください。  全ての原点は国盛化学にあります。国盛化学は射出成形機を使い、自動車のスピードメーターなどの樹脂部品を製造しています。射出成形の現場から生まれたのが取り出しロボットで、その専業メーカーとしてスター精機が1964年に誕生しました。その後、スター精機が成長していく過程で、射出成形の周辺領域の自動化の需要も取り込みたいと考え、ファクトリーオートメーション(FA、工場の自動化)装置やロボットシステムの製作を手掛けるスターテクノを72年に設立しました。スター精機とスターテクノは親子関係にあり、スターテクノの株の過半数をスター精機が保有しています。今後は両社の協業をより一層強化したいと考えています。一方、スター精機と国盛化学との間には資本関係がほぼなく、それぞれが独立して企業運営をしています。とはいえ、スター精機としてはスターテクノも含めたグループの力を結集し、祖業である国盛化学の自動化ニーズに応えるつもりです。

「スター精機とスターテクノの役員や従業員のベクトルをいかに一つにまとめるかが最大の課題」と話す塩谷陽一社長

――スター精機とスターテクノが協業すると、どんな相乗効果が期待できますか?  スター精機は汎用的な直交ロボットの量産技術に強みがあるのに対し、スターテクノは多関節ロボットを使った一品物の自動化システムの構築を得意としています。物流業界や工作機械業界をはじめとした新規分野を開拓するには、社内にいかに要素技術を持つかが大事です。スターテクノは自動化システムの構築を通じ、これまでに数多くの「要素技術の卵」を生み出してきました。こうした要素技術の卵をスター精機の直交ロボットに適用し、一つの汎用的なソリューションとして顧客にいかに提供できるかが新規開拓の成否の鍵を握ります。汎用品の量産技術を持つスター精機と一品物の製作に強いスターテクノが協業する意義はそこにあります。また、さまざまな業界にソリューションを提供する上で、スター精機のアインツ事業部も大きな役割を果たすと期待しています。 ――どう協業を進めますか?  両社では得意分野も文化も違うため、役員や従業員のベクトルをいかに一つにまとめるかが最大の課題です。ですから、役員や従業員同士の交流の場を増やしたり、両社の制服を統一したりと、今後さまざまな施策を打ちたいです。また、スター精機では現在、愛知県大口町に新工場を建設する計画を立てており、早ければ来年夏以降に着工します。新工場の竣(しゅん)工のタイミングでスターテクノも現本社から移転し、両社の従業員が同じフロアで働ける体制にしたいですね。ゆくゆくはスターテクノの完全子会社化も視野に入れています。 ――ありがとうございました。

(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

塩谷 陽一(しおたに・よういち) 金沢大学工学部機械工学科卒業後、1984年4月国盛化学入社。96年10月取締役、2014年8月社長就任(現職)。スターテクノでは1999年4月取締役就任、15年8月社長(現職)。スター精機では05年12月監査役就任、17年12月副社長、21年12月社長(現職)。1960年2月生まれの62歳。 関連記事:[SIerを訪ねてvol.21]「加工」で自動車メーカー開拓/スターテクノ 関連記事:専門展で見た取り出しロボットの最新提案/名古屋プラスチック工業展2021

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