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2022.03.22

自動化の第一歩を! 軸数絞って扱いやすく【前編】/ブラザー工業、田中工画

パッケージでハードル下げる

ストッカーなども含めて一つのパッケージ商品に

 同社には1990年代に一度、BV7-870と似たコンセプトのローディングシステムを開発した経験があった。だが、特定の顧客からの要望で開発した専用システムだったため、一部の限られた顧客にしか販売していなかったという。
 それから約30年。人手不足を背景とした自動化ニーズの高まりを受け、同社も自動化製品の開発に再度乗り出した。「垂直多関節ロボットなどが既に数多く市販されているが、工作機械メーカーが自動化製品を提案するメリットは何か?」を念頭に置きながら開発したのが、スピーディオとセットで提供できるパッケージ商品のBV7-870だった。

 2019年5月の発売に先立ち、前年11月に東京都で開催された工作機械見本市「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」で参考出展した。しかし、当初はストッカーがパッケージの中に組み込まれていなかった。久田マネジャーは「来場者や顧客の反応を見て、ストッカーも事前に準備しなければ自動化が進まないと痛感した。ストッカーも含めてパッケージの内容を充実させ、導入のハードルをさらに下げる必要があった」と振り返る。

「標準パッケージをいかにそろえるかが重要」と久田敏生マネジャー

 現在は顧客のニーズを拾い集めながら、標準パッケージの拡充や提案に力を入れている。「個別対応も当然重要だが、打ち合わせや仕様決めに手間やコストがかかる。中小企業などに自動化の第一歩を踏み出してもらうためにも、ストッカーやロボットハンドなどの標準パッケージをいかにそろえるかが重要」と久田マネジャーは強調する。

 また、現状はスピーディオ1台に対してBV7-8701台の構成だが、顧客からは「2台の工作機械の間にローディングシステムを組み込み、連結させられないか」との相談も多いという。こうしたニーズに応える新たなローディングシステムの開発も視野に入れる。

 前編では、BV7-870の特徴やメリットを詳しく紹介した。19年に発売してから、中小企業を中心に引き合いや導入実績が徐々に増えつつあるが、実際に導入したユーザーはどんなメリットを享受しているのか?
 後編はBV7-870ユーザーの現場に潜入し、「生の声」をリポートする。

――後編につづく
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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