生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.03.11

[特集 物流機器は新世代へvol.14]初日を上回る来場者、好天恵まれ3日目も期待

コロナ禍で導入件数増加/フォクスター

傾斜や凹凸のある場所でも使えるハイクロボットの自動搬送ロボット

 画像処理システムのメーカーのフォクスター(大阪府豊中市)は、中国・ハイクロボット製の自動搬送ロボットのデモンストレーションを披露した。ハイクロボットは、監視カメラ製造の親会社ハイクビジョンが自社の倉庫を効率化するためにAGVを開発したことから始まったロボットメーカーだ。

 披露したAGVは、専用の棚の下に潜り込み、棚ごと持ちあげて搬送する。AGVの下側にあるシャシーは、一枚板ではなく、真ん中で折れるタイプを採用し、物流倉庫のでこぼこした場所や傾斜がある場所でも使用できる。

 安全で機能性の高いリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、1.5時間の充電で8時間稼働する。電力が設定した残量まで減ると自動的に充電器に戻る。

 フォクスターの担当者は、「ここ2年で日本での導入数は順調に増えた。コロナ禍での電子商取引(eコマース)の増加で、さらに導入件数が増えた」と話す。このほかに、自動搬送フォークリフト(AGF)なども展示した。

複数のカメラやセンサーで高い精度を/ビジョンナビロボティクス

ビジョンナビロボティクスが披露したAGFでのパレットの積み降ろし

 中国・深圳市に本社を置くビジョンナビロボティクスは、無人フォークリフト(AGF)が2段に重なるパレットを一つずつ積み下ろすデモンストレーションを披露した。リフトの上部に搭載したカメラで、壁や天井に張り付けたQRコードを読み取り自動走行する。「床にQRコードや磁気テープを貼るより工事費用がかからず劣化しにくい」と説明員はアピールする。

 QRコードを読み取るカメラとは別に、前方にカメラ1台と爪の先端にセンサーを2台搭載したことも特徴の一つ。人工知能(AI)技術の一種である機械学習機能で、高い積み降ろし精度を実現した。

 同社は2016年に香港中文大学の教授や生徒が設立したAGV、AGFメーカー。コロナ禍で今回展にスタッフが来日できず、代わりに名古屋大学の留学生などが小間に立った。中国にいる日本営業部の任娜(にん・な)部長とウェブ会議システムでつないだ。

 「現在は中国国内と香港だけの事業展開だが、年内に日本や韓国、米国などに進出する。わが社のフォークリフトは、日本の物流現場で多く使われる田の字型パレットにも対応する。品質など求められるレベルが高い日本で事業展開し、さらなる実力アップにつなげたい」と任娜部長は意気込む。

最大1.5tの重量物を楽々と/ロボテック

少ない力で楽に重量物を持ち上げられる電動バランサー「ムーンリフタ」

 ロボットの要素技術を生かし、現場での困りごとを解消するユニークな機器を提案する国内メーカーもあった。
 ロボット用アクチュエーターメーカーのロボテック(東京都中央区、吉本喬美社長)は、10~1500kgの重量物を女性や高齢者も楽々と上げ下げできる電動バランサー「Moon Lifer(ムーンリフタ)」を展示した。トルク(回転力)の検出と制御ができるアクチュエーター「ユニサーボ」の機能で、荷物の重さとムーンリフタが引き上げる力がちょうど同じになるよう制御する。重量が相殺されることで、力を入れずに重量物を上げ下げできる。

 重量物をつり上げる際はホイストと呼ばれる巻き上げ機などが使われることが多く、作業員が片手に持ったリモコンで細かく位置を調整していた。「ムーンリフタ」は直接両手で持ち上げられ、速度や停止位置を思い通りに決められる。

 「ムーンリフタをつるす架台さえあれば、どんな場所でも重量物を持ち上げられる」と説明員はアピールした。


国際物流総合展2021は、明日の12日まで開催される。

(ロボットダイジェスト国際物流総合展2021取材班)




関連記事:vol.11 愛知初の国際物流総合展がついに開幕
関連記事:vol.12 対面での商談に花、コロナ禍でも好調な来場
関連記事:vol.13 開幕日は2200人が来場、リアル展示2日目弾む商談

TOP