• インタビュー
2019.02.25
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先の見えない時代の投資とは?日本市場開拓に本腰【前編】/ユルゲン・フォン・ホーレン ユニバーサルロボット社長

日本支店の機能を強化

ロボットの使い方を学べるトレーニングセンター

――昨年末、日本支店のオフィスを東京都の千代田区から港区へと移転し、今年から新オフィスで営業を開始しました。  これは、日本市場の開拓に一層の力を入れるとの姿勢の表れです。新オフィスは実機を見られるだけでなく周辺機器まで含めたテストができるアプリケーションルームや、使い方を学ぶためのトレーニングセンターを備えています。「協働ロボットとは何か、どのように使えばいいのか?」といった情報を周知することも、市場をけん引するわれわれの役目です。ロボットを作って売るだけでなく、「こういった使い方ができる」というアプリケーションの形で提案し、顧客の課題解決に資するソリューションを提供する。そのためにこういった施設は欠かせません。これまでよりも広いオフィスなので、エンジニアなどスタッフの数も増やせます。

「UR+の認証機器を倍増させる」と話すフォン・ホーレン社長

――アプリケーションやソリューションを重視している。  その通り。当社は協働ロボットを、顧客の課題解決を実現するためのプラットフォームと捉えています。ロボット本体を、ハンドなどのエンドエフェクターや各種センサー、その他の周辺機器などと組み合わせ、最適なロボットシステムを構築する。そのために必要な機器を「UR+(プラス)」として認証しています。ハードウエアからソフトウエアまで全て含めて、当社のロボットに最適な仕様であることが確認された機器で、ユーザーは機器のプログラミングまでURのティーチングペンダント(手持ちの操作盤)できます。現在のUR+認証機器は約140製品ですが、今年中に2倍にする方針です。近いうちに、日本の有力な周辺機器メーカーの製品もUR+としてご紹介できると思います。

ホームページから無料で使える「アプリケーションビルダー」

――140製品でも多いのに、さらに2倍。多すぎて選ぶのが大変そうです。  ホームページ上で 「アプリケーションビルダー」というサービスを提供しているので大丈夫。ロボットに行わせたい作業や条件を選んでいくだけで、必要な周辺機器がリストアップされます。それらの機器で構築したロボットシステムを映像で確認でき、動作も見られますので、「実際に組み上げてみたらイメージと違った」という心配もありません。作業内容に応じたプログラムのテンプレートも付いていますので、プログラミングも簡単です。メーカー側がパッケージやオプションとして周辺機器の選択肢を絞り込むと、本来は別の機器の方が最適なケースでも、妥協してメーカー指定のものを使わざるを得ません。ロボットにさせる作業内容や工場環境は現場ごとに違います。その多様な現場に合わせるには、こちらが周辺機器を押し付けるのではなく、当社のロボットに適合する数多くの選択肢の中から最適なものを選べることが必要です。なお、アプリケーションビルダーは現在は英語版ですが、この春には日本語版をリリース予定です。

――日本のロボットメーカーも近年協働ロボット市場に次々に参入し、競合が増えています。競争が激化する現状をどう捉えていますか? そのあたりをぜひ、【後編】で聞かせてください。  よろしくお願いします。

――後編へ続く (聞き手・ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)

ユルゲン・フォン・ホーレン ダイムラー・クライスラー・サービス、ドイツテレコム、ペンテアなどの国際企業で上級管理職を経験。国際的なエンジニアリングサービス会社のビルフィンガーSEではエンジニアリングソリューション部門のエグゼクティブプレジデントを務めた。2016年ユニバーサルロボット入社。英国ヘンリー・マネジメント・カレッジで経営学修士号(MBA)取得。 関連記事:先の見えない時代の投資とは?日本市場開拓に本腰【後編】/ユルゲン・フォン・ホーレン ユニバーサルロボット社長(2月27日アップ予定)

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