「工作機械&ロボット」の最前線がここに!【その3】/JIMTOF2024
ロボットハンドのような機構を主軸に取り付け
ユニークな提案で注目を集めたのがユキワ精工(新潟県小千谷市、酒巻和男社長)だ。同社は工作機械に切削工具を取り付けるためのツールホルダーなどを製造する。会場では各種ホルダーやその他工作機器と併せて、「ワークハンドリングホルダ」を展示した。 同製品はロボットハンドのような見た目だが、ツールホルダーと同様の取り付け部を備え、工作機械の主軸先端に取り付けて使用する。ワークの把持が可能で、加工室内にワーク置き場を作れば、ワークハンドリングホルダでワークを付け替えながら連続加工ができる。 クーラント(冷却・潤滑油)の圧力で駆動するため、主軸中心からクーラントを供給できるクーラントスルー仕様の工作機械であれば改造なしで使用できる。 「ロボットほどの設備投資は難しい現場でも、このワークハンドリングホルダなら安価に導入できる。2022年にBT30番主軸用(小型マシニングセンタ用)を発売したが、広く普及しているBT40番主軸に対応した機種も新たにラインアップした」と酒巻孝次代表取締役専務は話す。
測定工程にも広がる自動化
工作機器メーカーだけでなく、測定機器メーカーも自動化を積極的に提案した。 測定機器メーカーのマグネスケール(東京都江東区、大野治社長)は、測定機器「µMATE+(ミューメイトプラス) LU20」と専用ゲージ、協働ロボットを組み合わせて、測定の自動化を提案した。ゲージの測定結果をLU20にデジタル表示し、無線通信のBluetooth(ブルートゥース)で経由でデジタルデータとして簡単に蓄積できる。 従来はLU20の本体をロボットに固定し、測定項目ごとにゲージ部分のみを交換する方式で提案していた。一方、今回は各ゲージ側にそれぞれLU20を搭載し、まとめて交換する方式にした。これによりロボットが測定専用ではなくなり、別途ロボットハンドを用意すれば計測前後のワーク搬送ができるなど、ロボットをより汎用的に使える。
TPR大阪精密(大阪府東大阪市、田口哲也社長)は、歯車測定機「CLP-35DDSF」とスカラロボットを組み合わせて測定の自動化を提案した。 ワークをロボットが自動で脱着するため、測定作業を省人化できる。オプション品の「3Dプローブ」を使えば、幾何偏差測定など測定の幅を広げられる。 担当者は「今回はスカラロボットと組み合わせたが、垂直多関節ロボットや単軸ロボットなどさまざまなロボットとの組み合わせが可能」と担当者は語る。
(JIMTOF2024取材班、構成・曽根勇也)
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