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2024.11.12
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[SIerを訪ねてvol.51]徹底したリスク管理と納期管理で「停まらない・壊れない装置作り」を/ジェー.ピー.イー.

「1度きりの勝負」を常に

「クレームを防止するにはリスク要因をいかに減らすかが大事」と話す五味剛志社長

 JPEは「停まらない・壊れない装置作り」を志向し、納入後のクレームゼロを目標に掲げる。「お客さまは生産効率を高めるために自動機やロボットシステムを導入する。だからこそ、停止したり、壊れたりしない装置やシステムを提供することが何よりも重要。過去6年間で卓上の小型装置も含めて900台以上の装置やシステムを納めたが、納入後のクレームはわずか2件のみ」と五味社長は胸を張る。  ノークレームを達成するポイントは、徹底したリスク管理と納期管理にあるという。五味社長は「SIerが抱える案件は基本的に一品一様なので、いわば『1度きりの勝負』を常に繰り返している。リスクが大きいビジネスだからこそ、クレームを防止するにはリスク要因をいかに減らすかが大事」と強調する。  そこで、JPEは営業面と技術面のそれぞれでリスクを低減する施策を講じる。営業面では、機械設計に40年以上携わる五味社長自身がJPEに舞い込む多くの案件に目を通し、技術的な視点からリスクの大小や受けるか否かを技術系の役員と共に判断する体制を敷いた。 また、技術面で言えば、リスクの大きい高難度な案件になるにつれて、複数の設計者が複数回にわたって装置図面のデザインレビュー(DR、設計審査)を実施する仕組みを取り入れた。DRを何度も繰り返すことで設計者同士の情報共有を図りつつ、装置図面の完成度も高めて後工程のトラブル削減につなげる狙いだ。

さまざまな加工設備を保有しており、部品の内製比率は約70%に上る

 「個人的には、クレームが発生する最も大きな要因は日程にあると考えている。納期に追われて急ピッチで仕上げるような体制では高品質な装置やシステムを製作できない。そのため、徹底した納期管理はリスクを削減するのに非常に有効な施策」と五味社長は説明する。  JPEでは30~40もの案件を同時並行で進めており、現在は週に2回のペースで役員や幹部社員が一つ一つの案件の進捗(ちょく)状況を確認するという。「2年ほど前までは毎朝、各案件の進捗状況を確認していた。この取り組みを10年近く続けてきたおかげで、納期に対する社員の意識が格段に高まった」と五味社長は力を込める。部品の内製比率が高いのも、柔軟な納期調整を実現する上で大きなメリットになる。  JPEは装置製作のノウハウに加えて、こうしたリスク管理や納期管理の取り組みを通じてクレームやトラブルを最小限に抑え、顧客からの厚い信頼を獲得してきた。五味社長は「わが社の技術力や方針を評価してくれた既存のお客さまからの口コミ経由で、新規の引き合いをいただくケースも増えた」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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