[注目製品PickUp! vol.60]自動車向けのAGVメーカーが開発した物流向けの新製品/愛知機械テクノシステム「低床リフターAGV」
「真っ直ぐ走る」のが強み
同社は日産自動車グループの自動車部品メーカーである愛知機械工業(名古屋市熱田区、早川敦彦社長)の子会社で、AGVの専業メーカーとして1998年10月に産声を上げた。会社の設立以来、自動車業界の顧客の厳しい品質要求やコスト要求に応えるべく、カスタマイズ品を含むさまざまな種類のAGVを25年にわたり供給してきた。 そのため、愛知機械テクノシステムの製品は、コスト競争力の高さや「真っ直ぐ走る」といった基本品質の高さに大きな強みを持つ。開発部の益山信也さんは「AGVを真っ直ぐ走行させるには、磁界の大きさや方向性を正確に検知してAGVをコントロールする制御技術が欠かせない。25年の歴史の中でAGVの制御技術を蓄積し、走行精度を高めてきた」と強調する。 低床リフターAGVも真っ直ぐ走行できればカゴ台車を直線状に整列できるため、物流センター内の充填(じゅうてん)率を向上できる。
技術サポートも手厚く提供
同社が物流業界向けのAGVの提案に本腰を入れ始めたのは、今から3年ほど前にさかのぼる。主要顧客の自動車業界は「100年に一度の大変革期」に直面しており、市場構造が大きく変化しつつあるため、自動車に続く新たな市場として物流業界に目を付けた。 低床リフターAGVを発売したのも、人手不足が深刻な物流業界を開拓する取り組みの一環だ。沢田さんは「問い合わせや引き合いは増えており、反響は大きい」と述べる。物流業界にフィットした製品群をまとめたカタログも用意しており、販売攻勢を強めている。 物流業界は自動車業界とは違い、AGVをはじめとした自動化機器の取り扱いに不慣れな企業が多い。そのため、同社は単にAGVを売り込むだけではなく、物流センター内のレイアウト改善や物流の整流化などのコンサルティングを含めた技術サポートも手厚く提供する構えだ。「物流センターは自動車関連の量産ラインとは異なり、物の流れが定期的ではない。物流業界に参入してまだ間もないだけに、今後もこうした業界の知識を学びながら、お客さまとの商談を進めたい」と沢田さんは話す。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)