[注目製品PickUp! vol.55]触れたら止まる、協働ロボ用の安全カバー/太田廣「MIONER」
太田廣は工業用ゴムや樹脂成形品を取り扱う商社だが、近年は自社ブランドのロボット関連製品の商品化にも取り組む。 その一例が、名古屋大学の大日方五郎名誉教授らと共同開発した触覚センサーだ。接触力や滑りやすさ、表面性状、温度などの人の手が持つ触覚情報を検出できるセンサーで、軟らかい物や壊れやすい物を適切な力加減で把持できる。 触覚センサーの開発プロジェクトを進めるうちに、三重ロボット外装技術研究所の協力会社だった成形加工会社を通じて森社長とも接点ができた。「加藤部長に初めて会ったのは新型コロナウイルス禍が本格化する前で、まだお互いにマスクを付けていなかった」と森社長は振り返る。 こうした縁から両社のコラボレーションが始まり、3年以上の時を経てミオナーの発売に至った。
太田廣は触覚センサーのPRの一環で、中部地区の展示会に積極的に出展してロボットに関心のあるエンドユーザーや商社、代理店とのつながりを作ってきた。また、触覚センサーの開発プロジェクトを進める過程で、地元のシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)とのパイプも構築した。 そのため、まずは触覚センサーで培ったネットワークを生かし、ミオナーの販路拡大につなげたい考えだ。 同時に、今後はリスクアセスメント(リスクの分析と対処)や安全認証など、ミオナーを提案する上で必要とされる安全関連の知識を備えた人材の育成も急ピッチで進めるという。「安全対策の重要性をしっかりとPRし、ミオナーの普及促進を目指したい」と加藤部長は気を引き締める。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)