[注目製品PickUp! vol.51]コスパやサービスを武器に拡販/ハイウィン「RAシリーズ」
サービス、ここまでやる
また、神戸本社と東京支店にあるロボット技術センターでは、ロボットの講習や安全教育を始め、顧客の引き合いに応じてロボットシステムの構想設計や概念検証に対応する。 営業技術部の佐伯篤志次長は「技術部門にはSIer出身者も多く、ロボットシステムの設計や製作の大変さをよく理解している。わが社が概念検証をする分、SIerや納入先の生産技術部門の担当者は本来の業務に集中できる。システムの設計や製作、設置にはSIerが欠かせないため、うまく協力し合える体制を築きたい」と話す。顧客からも「事前にしっかり検証に付き合ってもらえるのはありがたい」との声が寄せられる。 「金属加工業が盛んな東海地方にもセンターを置きたい。近くにサービス拠点があると安心感や信頼性につながる」と佐伯次長。 リピートを含むロボット拡販のためには、充実したサービスが欠かせない。概念検証を引き受けることもその一環だ。異なるメーカーのロボットや周辺機器を接続して連携させるには、異なるインターフェース間でも機能するソフトウエアが必要。同社ではソフトを自前で開発し、SIerやロボットユーザーに無料で提供する。 また、オフラインティーチングをして動作をシミュレートするソフトを同社ホームページからダウンロードできる。ティーチングペンダントと操作が共通しているため、ロボット購入以前から練習を始めるなどの使い方ができる。さらには、ロボットのOSのアップデートも無料だ。こうしたサービスにより、ロボット導入後のランニングコストを低減する効果もある。
台湾本社と神戸本社で役割分担
RAシリーズは、台湾の台中市にある本社工場で設計、製造される。「台湾の設計部門は開発のフットワークが軽い。迅速にニーズを吸い上げ、新製品に反映していく。概念検証をする中で、われわれ自身が要望を出すことも多い」と言う。概念検証や技術的なトラブルに対応する時にも、台湾本社の開発メンバーが積極的に支援する体制がある。 神戸本社では出荷前の検査を実施することで輸送中のリスクを軽減し、顧客の手元に到着した時に不慮の問題が発生するのを未然に防ぐ。「将来的には日本国内でもロボットを含めた装置を生産する機能を確立したい」と話す。 RAシリーズは発売以来、グローバルで販売を伸ばしている。有力なロボットメーカーがひしめく日本でも引き合いは好調。その要因について「サービスが評価された結果と考えている」と話す佐伯次長。「今後も、内製率の高さを背景にした短納期とコストパフォーマンス、周辺機器を含めたトータルソリューション、概念検証やソフト提供を中心としたサービス力を武器に、販売に力を入れる」と意気込みを語る。
(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)