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2023.03.17
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[ロボットが活躍する現場vol.24]設備老朽化から執念でロボット化/丸栄

立木大専務は「生産計画を立てやすく、需要に応えられるようになった」と語る

 20年に現在の8ラインが稼働を開始。苦労のかいがあり、生産能力は劇的に向上した。「以前は機械の調子によって生産能力が上下するため、生産計画を立てづらかった。生産量に限りがあるため求められるだけの販売ができず、顧客への心苦しさもあった。今は需要にほぼ100%応えられている」と立木専務は語る。結果、ロボット導入以前は赤字スレスレの事業が、着実に利益を生み出すまでに改善した。  機械のメンテナンスをする作業者も、10人から1人に省人化できた。「現場では高齢の作業者が多かった。責任感から仕事を続けてくれていたが、ロボット導入を機に退職した社員もいた。別部署に異動した人もいる」と言う。

今後の事業展開に光明が

8つのラインで大量生産

 ロボット導入によるメリットは、他にもたくさんある。特定の技術者の勘やこつに依存して運用していたが、工程の再現性が高くなったことで、マニュアル化できるようになった。今もマニュアル作成を進めているところだ。「オペレーターの育成には以前は少なくとも5年かかっていたが、今は1年ほどで一人前と呼べるレベルになる。作業負荷が小さくなったことで女性も活躍できるようになった」と久保田課長。  丸栄の船越工場は、ロボット導入による自動化に成功した現場と言える。自動化できなければ事業撤退の恐れもあった。「振り返ってみれば、今しかないというタイミングでの設備更新だった」と立木専務が話すように、現場の人手不足と高齢化、設備の老朽化によるランニングコストの増大に加え、ロボット技術がここまで進歩したからこそ実現した。「今後も絶えずアップデートさせ、生産能力の向上に努める」と立木専務は力を込める。画像認識の精度に改善の余地がある他、貝殻の搬送先で整列が時折乱れることなどが改善ポイントだ。「これからの事業展開にいろいろな可能性が出てきた。SIerである高丸工業と連携しながら、改善の道を探っていく」と話す。

(ロボットダイジェスト編集部 松川裕希)

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