2020.11.05
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産業ロボット向けも拡充 アルミ構造材のSUS【後編】

専用なら新たな設計や構造計算いらず

「転倒しない適切なサイズに設計した」と話す伴野マネージャー

――協働ロボットの専用台車としての特徴や重視した点は?  大きな特徴として、転倒防止のアウトリガー(安定性を高めるための突き出し)付きと、ないタイプの2種類を用意しました。とにかく、ロボットを買ってすぐ使えるのが協働ロボットの特徴ですから、導入しやすく、かつ転倒しない適切なサイズ設計が重要でした。台車の上にロボットを乗せ、台車の下のスペースにはコントローラーを置くとなると、配線を通す穴も必要です。それらを考慮して開発し、7月に実証試験を始めました。 ――実証試験ではどんな試験を?  それまでは、実際に現場でどう使われるかを、完全にはイメージできていませんでした。実証試験を通し、現場での使われ方に合わせて大きさも含めて改めて検討し、ロボットアームを最速のスピードで動かしても倒れないか、速度落とした協働モードでの運転や、非常停止や故障を想定した挙動など40パターンで試験を繰り返しました。これには2日かかりました。こうしてようやく、8月末に正式発表できました。

ファナック製協働ロボット「CRXシリーズ」の専用台車

――CRXシリーズ専用台車を使うメリットは?  納期もコストも抑えられます。ロボットと台車の接合部には鉄のプレートが必要で、プレートの設計には納期とお金がかかります。専用台車ならば新たな設計や構造計算も不要です。また天板部分も通常の台車では鉄製のものが使われますが、わが社の専用台車ではスロット(細長い穴)入りのアルミフレームを使います。 ――ファナック以外のロボットメーカーにはどうアプローチしますか?  パラレルリンクロボット、協働ロボットなど種類を問わず、多くのロボットメーカーとタイアップしていき、製品も今後さらにブラッシュアップしていきたいと考えます。各社のロボットごとに標準仕様を用意することで、都度設計することなく、最終顧客であるユーザーに提供できるようにしたいです。「ZFシリーズ」はアルミフレームの究極版を作ろうと開発しました。ZFはまだ、海外に販売代理店がありませんが、わが社のタイ工場でも量産できます。海外への対応も考えていきたいです。

(ロボットダイジェスト編集部 長谷川 仁)

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