2020.08.05
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[5日間の夏期集中講座vol.3]ここだけは押さえたい!産業用ロボットのきほんの「き」/ロボットの種類

「ティーチングプレーバック」が一般的

 構造以外の分類方法では、産業用ロボットへの動作の入力方法による分類がある。最も一般的なのは「プレーバックロボット」だ。産業用ロボットと言えば、通常はプレーバックロボットを指す。  ロボットを動かすにはまず、動作の途中の姿勢をいくつか覚えさせる必要がある。それらの姿勢をつなぎ合わせ、最終的に求める動作をロボットにさせる仕組みだ。動作をロボットに覚えさせることをティーチング(教示)と呼ぶ。教示した動作を再生(プレーバック)するため、プレーバックロボットと言う。  この他、あらかじめ設定された一定の手順を繰り返すだけの「シーケンスロボット」、ティーチングで動作を覚えさせるのではなく数値情報などをプログラミングして制御する「数値制御(NC)ロボット」などがある。

注目集める協働ロボット

各社の協働ロボット(写真はいずれも「2019国際ロボット展」)

 最近は、通常の産業用ロボットとは異なる「協働ロボット」が新たに登場し、大きな注目を集めている。欧米では「コラボレーティブロボット」、略して「コボット」と呼ぶ。  人との接触事故を防ぐため、従来はモーターの出力が80W以上のロボットを設置する場合は、安全柵でロボットを隔離するなどの安全対策を施す必要があった。しかし、協働ロボットは適正なリスクアセスメント(リスクの分析と対処)をすれば、安全柵などがなくても稼働できる。「安全柵が不要で、人と同じ空間で働けること」が協働ロボットの最大の特徴で、通常の産業用ロボットとの最も大きな違いだ。    協働ロボットは、人に接触すると即座に自動停止する機能を備えるものが多く、安全性が高い。安全柵がない分、ロボットの設置面積を大幅に削減でき、スペースが限られる現場に導入しやすいのも特徴だ。  また、これまでロボットを使ってこなかった現場での使用も想定しているので、ティーチングが簡単にできるのも協働ロボットのポイントだ。通常の産業用ロボットは専用の操作機器を使ってティーチングをするが、協働ロボットの多くはアームを直接手で動かして動作経路を覚えさせる「ダイレクトティーチング機能」を搭載している。  協働ロボットの開発や利用では欧米が先行していたが、日本では2013年12月に厚生労働省が産業用ロボットに関わる労働安全衛生規則を一部改訂したのをきっかけに、少しずつ使われ始めた。

3日目のおさらい

 3日目はロボットの主な種類を紹介した。おさらいとして、ロボダイ編集部が独自で「これだけは押さえたい」基本的な内容を問題にまとめたので、ぜひとも挑戦してほしい。  問1.産業用ロボットを構造で分類した場合、代表的な4種類のロボットは何だろう。  問2.動作入力の方式で分類した場合、最も一般的なロボットは何だろう。  問3.協働ロボットの最大の特徴は何だろう。  答えは本文の中にあるので、各自でチェックしよう。  4日目は産業用ロボットの構成要素や周辺機器、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)、そしてロボットシステムの導入フローや導入コストなどについて解説する。

――「5日間の夏期集中講座vol.4」へ続く (ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)

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